日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 「福島に生きる」 市民の立場で記録し発信・・原発被害を告発する小渕真理さん(56)

「福島に生きる」 市民の立場で記録し発信・・原発被害を告発する小渕真理さん(56)

「福島で起きていることは、ヒロシマ、ナガサキ、チェルノブイリなどと同じく次世代、次々世代まで伝え続けていかなければ」と話すのは、福島県白河市にあるNPO法人「アウシュヴィッツ平和博物館」の館長、小渕真理さん(56)です。

「次世代に戦争の惨禍を語り継ぐ『市民による手づくりのミュージアム』」として2000年4月、栃木県塩谷町に開設された同「平和博物館」が、03年に白河市に移転して10周年を前に東京電力福島第1原発事故が起きました。

展示パネルを説明する小渕さん=白河市
展示パネルを説明する小渕さん=白河市

共通する「危機」

「命と人権が危機にさらされている」ことでは、ポーランドの強制収容所アウシュヴィッツで起きたことと、福島第1原発事故も「共通する」と認識する小渕さん。

「10周年記念の事業を『原発災害情報センター』の建設にチェンジしました」。今年5月、「平和博物館」に隣接する場所に、姉妹館として同「センター」を″未完成オープン″しました。今後、常設展示をめざしています。

現在、立命館大学の国際平和ミュージアムの協力で「放射能と人類の未来」と題した企画展を開いています。「放射線とはなにか」「福島原発事故で放出された放射能」「福島事故のコスト」など分かりやすく解説した約30校のパネルが展示されています。

「将来、福島県としても何らかの展示館のようなものはつくるかもしれませんが、市民の立場で正しい情報を集めて展示したい。ボランティアでやっているので、募金も呼びかけています」と小渕さんはいいます。

「小学高学年から放射能について学習する必要があると私は考えています。福島の子どもたちの不安は計り知れません。『結婚できるだろうか』『子どもを産んでも大丈夫だろうか』など深刻です。正しく知って、元気が出てホッとする。差別と立ち向かえるようになる学ぶ場になればいい。出前学習もできればいい」と思っています。

骨を埋める覚悟

福島原発事故から2年3カ月余。「身近に偏見と差別がありました。『(福島の原発事故で)死亡者が出ている状況はない。安全性を確保しながら(原発を)活用するしかない』と述べた自民党の高市早苗政調会長の発言や復興庁官僚のツイッター暴言など″鬼が居る″のではないかと思うほど福島の真実が伝わっていません。正しく記録し、発信していく必要があります」。

東京出身の小渕さんは、住民票を白河市に移し、「福島に骨を埋める」覚悟を固めています。「広島や長崎の資料館に匹敵するセンターを目指したい」   (菅野尚夫)

「アウシュヴィッツ平和博物館」

アウシュヴィッツ強制収容所跡を保存管理するポーランド国立オシフィエンチム博物館から犠牲者の遺品、記録、写真を借り受け展示しています。
年間約3000人の来館者がありましたが、原発事故のあった2011年は1894人に激減しました。一般500円、高校生300円、中学生以下無料。午前11時から午後5時(12月から2月は午後4時)まで。火曜日閉館。問い合わせ=0248(28)2108

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