参院選の公示が目前に迫り、各党の政策も出そろって、論戦が事実上スタートしています。暮らしと景気、消費税増税、環太平洋連携協定(TPP)参加、憲法改定などいずれも大きな争点ですが、見過ごせないのは原発問題です。東京電力福島第1原発の事故の収束のめどもたたないなか、安倍晋三政権は国民の批判と不安をよそに、停止中の原発の再稼働と輸出に露骨にかじを切っています。原発からの撤退を実現し、国民の安心・安全を守るのはどの党かが問われています。
収束していない原発事故
国民は東電福島原発事故を通じて、原発が技術的に未完成で、いったん事故を起こせば予想を超える大被害をもたらすことを痛感させられました。事故から2年以上たっても原子炉の中がどうなっているかもわからず、毎日400トンも増え続ける放射性物質で汚染された水を管理することさえできていません。福島県内ではいまだに15万人以上が避難を余儀なくされています。被災者の不安を第一に考えるなら、原発の再稼働や世界各国への異常な売り込みが許されないのは当然です。
日本共産党は参院選政策で、「原発の再稼働と輸出を中止し、『即時ゼロ』の決断を」と求めています。いま日本で動いている原発は2基だけです。再稼働なしでも昨年の夏も今年の冬も電力はまかなえました。再生可能エネルギーに大胆に転換すれば、「原発ゼロ」でも必要なエネルギーはまかなえます。
今回の参院選にあたっての各党の政策で、なにより驚かされるのは自民党です。自民党は「野党」だった昨年の総選挙公約ではまがりなりにも「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」を掲げていました。ところが、今回の参院選公約では、「これまでのエネルギー政策を見直し」と原発に依存しない政策を完全に否定し、原発再稼働のため、「地域自治体の理解が得られるよう最大限の努力をいたします」と明記したのです。
福島原発事故のくわしい原因さえ明らかにならないのに、勝手な「基準」をつくり、それに“合格”すれば「安全」だなどという主張は通用しません。「基準」自体あわててつくったもので、これまでは原発から放射性物質が漏れだすような重大事故は起きないと“安全神話”をふりまいていたのを、今度は重大事故が起きても外部に水素ガスを放出するなどの対策をとれば安全だといいだす始末です。国内で安全性が確保できないのに外国に輸出するなどというのも国際的な不信を生むだけです。再稼働や輸出は中止し、「即時原発ゼロ」に踏み切ることが不可欠です。
再稼働反対明示せず
安倍政権の暴走をやめさせるためにいま大切なのは、「即時原発ゼロ」の立場をはっきりと主張し、被災者をはじめ国民との共同を広げていくことです。民主党は「2030年代原発稼働ゼロ」の目標は掲げるものの、原発の新増設や再稼働の反対は掲げません。日本維新やみんなの党も「脱原発依存」などとはいうものの、再稼働をやめさせる立場はありません。これでは暴走に立ち向かえません。
「即時原発ゼロ」をきっぱり主張し再稼働と輸出の中止を要求する日本共産党の立場こそ、国民の安全を大切にし、暮らしの安心を求める国民にこたえる立場です。