京大防災研究所 研究チーム発表
2011年3月11日に発生したマグニチュード(M)9・0の東北地方太平洋沖地震の影響で、東北地方と関東地方にある火山で沈降がみられた・・。京都大学防災研究所の研究チームが7月1日付の科学誌『ネイチャー・ジオサイエンス』電子版に発表しました。2010年にチリ沖で発生したM8・8の地震でも火山の沈降が確認されており、このような現象は広く見られる可能性があるといいます。
研究チームは、日本の陸域観測技術衛星に搭載された「合成開口レーダー」による、東北地方太平洋沖地震前後の地表面の観測結果を比較しました。その結果、秋田と岩手両県にまたがる秋田駒ケ岳、秋田と岩手、宮城3県にまたがる栗駒山、山形と宮城田県にまたがる蔵王連峰、山形と福島両県にまたがる吾妻山、福島と栃木両県にまたがる那須岳で、東北地方太平洋沖地震の後、沈降していることがわかりました。
最も大きな沈降が見られたのは吾妻山の15センチで、沈降が少なかったのは那須岳の5センチでした。一方、岩手県の岩手山と福島県の磐梯山では沈降は見られませんでした。
秋田駒ケ岳、栗駒山、蔵王連峰、吾妻山、那須岳の岩石が高温であるのに対して、岩手山と磐梯山ではそうではないことから、研究チームは東北地方太平洋沖地震の後の地殻にかかる力の変化によって、高温のために強度が弱くなっている岩石などの沈降が起こったとみています。
また、米国とチリの研究グループは、2010年にチリ沖で発生したM8・8のマウレ地震の影響でチリ国内の火山で最大15センチ沈降が確認されたと1日付の『ネイチャー・ジオサイエンス』電子版に発表しました。