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原発利権集団巻き返し・・反省無く、新増設・再稼働を要求/第47回原産大会

安倍晋三政権が4月11日にエネルギー基本計画を閣議決定したことを受け、原発利権集団の策動が強まっています。

(佐久間亮)

基本計画は、エネルギー政策基本法に基づいてつくられる中長期的な日本のエネルギー政策の指針です。司法は、自民党のエネルギー総合政策小委員会で練り上げられ2002年に成立。翌年の第1次基本計画を皮切りに、東京電力福島第1原発事故まで3次の計画が策定され、その全てで原発は「基幹電源」と位置付けられました。(表)

基本法策定当時、自民党小委事務局長として議論を仕切った加納時男参院議員(東電元副社長)は、「原子力を国の基軸エネルギーとして位置付けたのは初めてのことであり、大変意義深い」(『原子力eye』03年12月号)と語っています。

今回の第4次基本計画は、原発を「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置付けるとともに、核燃料サイクルや原発輸出の推進を明記しています。完全な“先祖返り”です。

原産大会で所信表明する今井敬原産協会会長=4月15日、東京国際フォーラム
原産大会で所信表明する今井敬原産協会会長=4月15日、東京国際フォーラム

新増設まで主張・要求

「責任あるエネルギー政策の構築を目指した安倍政権の決意と受け止め、今後のわが国の原子力政策の方向性が国内外に示されたものと高く評価しております」

基本計画が閣議決定された直後の15、16両日に開かれた日本原子力産業協会年次大会で、協会の今井敬会長(経団連名誉会長)はそう述べ、原発利権集団の意向を安倍政権が取り入れたことをたたえました。25日の両政府の共同声明にも基本計画を「歓迎」との文言が盛り込まれました。(*大会講演資料はこちらから・・)

経済産業省の後藤収大巨官房審議官は、原産大会での講演で「原発は基幹エネルギーということで重要なベースロード電源と書いてある」と基本計画を解説。さらに「新増設は想定の外に置いているが、危機感を申し上げれば、(新増設しなければ)設備容量が減っていく。将来どうするのか、次の課題として議論を進めていく必要がある」と述べました。

安倍政権は、基本計画で数値を明示しなかった将来の電源構成について、できるだけ早く公表するとしています。将来の電源構成に原発の新増設が盛り込まれる危険があります。

自民・公明両党は、将来の電源構成の公表期限を来年(2015年)3月に設定。公明党の斉藤鉄夫幹事長代行の日本の目標を持たずに行くことはあり得ない」(4日)と述べています。

圧倒的な国民世論に追い詰められ、民主党政権が「2030年代に原発ゼロ」を掲げてから1年半。原発利権集団が、息を吹き返そうとしています。

反省なく「安全性証明」14-04-30hensen

原産大会は国内外の原子力産業関係者が一堂に会する「世界の原子力産業界にとって最大のイベントのひとつ」(原産協会ホームページ)です。例年春に開かれ、今年は31カ国・地域、3国際機関から約千人が参加しました。テーマは「信頼回復に向けた決意」。ところが、登壇者からは福島第1原発事故を反省しない、異様な発言が続きました。

国際エネルギー機関元事務局長の田中伸男原産協会理事は、東日本大震災で危機に陥った福島第2原発について「1000年に1度の地震と津波に耐え、安全性を証明した」と述べ、再稼働すべきだと主張。

経産省の「原子力の自主的安全性向上ワーキンググループ」の安井至座長(製品評価技術基盤機構理事長)は、飛行機事故と比べれば原発が事故を起こす確率はずっと低いとし「最近は高校で物理とか確率をちゃんと学ばない。そういう人たちに説明するのは難しい」と全く無反省な態度です。

英国原子力公社出身のマルコム・C・グリムストン氏(インペリアル・カレッジ・ロンドン名誉上級研究員)は、福島事故による立ち入り禁止区域の大部分はすでに安全だとし「東京の汚い空気を吸っているより、(避難をやめ)福島の空気を吸った方がよっぽど健康にいい」と平然と述べました。

世界原子力協会のアニエッタ・リーシング事務局長は、日本が規制を強めると世界もそれに従わなければならなくなるとし「(規制強化は)金はかかるが効果はない」。田中氏も「日本がやりすぎると他の国が割を食う」と応じました。

再稼働へ圧力も強める

再稼働の圧力も強まっています。15日には、関西経済連合会(会長・森詳介関西電力会長)と九州経済連合会(会長・麻生泰麻生セメント社長)が連名で、一刻も早い再稼働を求める意見書を政府や国会に送付。16日には、四国経済連合会(会長・常盤百樹四国電力会長)など四国の経済4団体が、四国電力伊方原発の早期再稼働を求める要望書を政府と自民党幹部に手渡しました。

四国4団体に対し、松島みどり経産副大臣は「安全性が確認されたあかつきには、国がリードして再稼働を進めていく」と言明しました。

自公両党が政府の基本計画原案を了承した3日夜には、安倍首相が官邸近くの日本料理店で財界人らと会食し「川内原発の再稼働を絶対応援する」と表明。原子力規制委員会が優先審査を進めている九州電力川内原発を突破口に、再稼働を一気に進める狙いを語りました。会食には、経団連の今井敬、奥田碩(ひろし)、御手洗冨士夫の各名誉会長が出席しました。

(※=山本雅彦=原産大会資料は閲覧は可能ですが、「掲載している全てのテキストや画像を無断でコピーしたり、書き出したりしないでください」との記載がありますので、ご注意下さい。)

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