東京電力は7月9日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の海側に設置した観測用井戸で、8日に採取した地下水から放射性物質のセシウム134を1リットル当たり9000ベクレル、セシウム137を同1万8000ベクレル検出したと発表しました。
同じ井戸で5日に採取した地下水からはセシウム134を同99ベクレル、セシウム137を同210ベクレル検出しており、それぞれ約91倍と86倍に急増しています。福島第1原発事故の現状は、「収束」どころか、深刻さをいっそう増していることを示しています。
福島第1原発では、1号機と2号機の間の海側に設置した井戸で5月24日に採取した地下水から放射性物質のストロンチウム90やトリチウム(3重水素)が法令限度を大きく上回る高濃度で検出されたため、東電はこの井戸の周囲に新たな井戸を掘って地下水の分析を行っています。高濃度のセシウム134とセシウム137が検出されたのは、最初に高濃度のストロンチウム90やトリチウムが検出された井戸の南側に掘った井戸の地下水です。
2号機と3号機の間の海側に設置した別の井戸では、8日に採取した水から、放射性ストロンチウムなど、ベータ線を出す放射性物質(全ベータ)を同1700ベクレル検出したといいます。この井戸で採取した水に含まれる全ベータの過去最大値は1日に検出された同260ベクレルで、今回は6倍以上になっています。