日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」で1万点の機器点検漏れが発覚した問題を受け、文部科学省がまとめた同機構改革方針案が電力会社頼みの運転管理体制になっていることに、8月14日に開かれた原子力規制委員会で批判が相次ぎました。
もんじゅは、一般の原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを燃やす原発で通常の原発より危険性が高いと指摘されています。1995年にナトリウム漏れによる火災を起こすなどトラブルが続出。昨年、機器点検漏れが発覚し、今年(2013年)5月には規制委が運転再開の準備の停止を命令しています。
文部科学省が8日にまとめた「日本原子力開発機構の改革の基本方向」は「安全確保を最優先とした業務運営」などをうたっていますが、電力会社からの出向者を課長、チームリーダーなど責任部署に配置し「電力会社の協力強化による運転管理体制の構築」を改革の柱としています。
これに対し、この日の会合で更田(ふけた)豊志委員が「原発推進の電力会社とのなれあいを疑わせる内容」と批判しました。
田中俊一委員長も、「電力会社は軽水炉についてのノウハウはあっても高速増殖炉については専門家でない」と指摘し、「(これでは)もんじゅを動かすことが目的になってしまう」と文科省に異議を唱えました。