原子力規制委員会は8月14日、東京電力福島第1原発の廃炉に向けた長期的な安全管理に必要な措置として東電が提出した「実施計画」を認可しました。一方で、汚染水問題などで「依然としてリスク(危険)が存在」するとして、「さらなる取り組みが必要」としました。規制委は計画に基づき、東電が適切に安全管理をしているかなどを監視し、計画に従わない場合は法的に命令が出せます。
田中俊一委員長は「事態は流動的で、いろいろなことが起こりうる。今後も実施計画の見直しは必要だ」と述べました。
規制委は昨年(2012年)11月、事故を起こした福島第1原発を通常の原発とは異なる規制を行う「特定原子力施設」に指定しています。東電は、溶け落ちた核燃料の冷却維持や電源の確保、放射性廃棄物の管理など長期的安全確保に必要な措置を実施計画にとりまとめて規制委に提出。規制委は専門家を含めた検討会で審査してきました。
規制委は、冷却維持などがバックアップも含めて準備されていることなどから、実施計画を「災害の防止上十分なものになっている」とする一方、汚染水増加などの原因となっている地下水の流入対策をはじめ、原子炉圧力容器・格納容器内の温度計の劣化に伴う代替温度計の設置、タンク増設計画など12項目についての留意事項を付記しました。
福島第1沿岸海水・・トリチウム最高値検出
東京電力は8月14日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の沿岸で11日に採取した海水のトリチウム濃度の分析結果を発表しました。1~4号機取水口内北
側で採取した海水で1リットル当たり3800ベクレル、1、2号機取水口間の表層で採取した海水で同2300ベクレルを検出。いずれもこれまでの最高値を上回りました。
これまでの最高値はいずれも7月28日採取分で、それぞれ同3100ベクレル、同1800ベクレルでした。
9日には汚染地下水の海への流出の対策として1、2号機間の水ガラスの遮水壁の工事が完了していましたが、その後にトリチウム濃度が上昇していたことになります。
福島第1原発・・社員の身体汚染 訂正し管理値超
東京電力は8月14日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で12日に同社の社員10人の頭部などが放射性物質で汚染された問題で、ふき取り後の汚染レベルは1平方センチメートル当たり最大6・9ベクレルだったと訂正しました。社内運用管理値(同4ベクレル)以下だったと発表していましたが、実際はそれを上回っていたことになります。
同原発構内の免震重要棟で作業を終えた社員10人は午後0時35分頃に同棟前からバスに乗って退出しようとしましたが、入退域管理棟で放射性物質による汚染が確認され、ふき取り前の汚染レベルは最大同19ベクレルでした。