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福島に生きる 生業訴訟原告弁護団 鈴木雅貴さん(27)・・この訴訟は被害者団結の象徴

「福島に骨を埋める覚悟です」。生業(なりわい)を返せ!地域を返せ!福島原発訴訟原告弁護団の鈴木雅貴弁護士(27)は、同訴訟の事務局を務めています。

静岡県出身の鈴木弁護士。「旅行で来ただけで東北とはまったく緑がありませんでしたが被害者救済をしたい」と思い立ったことから福島に骨を埋めることにしました。

■不十分な現状

被災者たちは「去るも地獄、残るも地獄」です。2年5カ月を過ぎていまなお15万人もの避難者がいる福島県。「最近山梨県に避難した女性の話を聞きましたが、故郷の福島を去る決断をするまでも悩み、去って避難してからも悩んでいます。それまで培ってきたコミュニティーが壊されてしまっています。平穏に暮らす権利が奪われているのです」。

東京大学で倫理学を学びました。その後名古屋市にある法科大学院で法律を学びました。東日本大震災と原発事故が起きた2011年3月のときは大学院3年生。司法修習生のときに希望して福島県で研修を受けました。「救済の現状を見ると不十分なのが見えてきた」といいます。

福島に赴任した後、除染ボランティアに参加してきました。いたるところに放射線量の高いホットスポットがありました。「大変なことが起きている」のを実感しました。

「国や東京電力が責任をもち除染しなければならないのに被害者が自分でやらざるを得ない。賠償の枠組みについても加害者である国と東電が決めている。加害者と被害者が逆転しています」と怒ります。

3・9マイクロシーベルトの小学校の校庭で子どもを遊ばせるかどうかをめぐって、「遊ばせていい」という考えと「危険だ」とする意見が対立する。孫が避難先から帰ってこなくなり傷つく祖父母−。そんなバラバラにされた被害者の団結の象徴が「生業訴訟です」といいます。

「家族が壊されて絆がちぎられました。『絆』『絆』とあえて強調せざるを得ない。福島のいまだ修復ができないでいる目に見えない被害を見てほしい」と多くの国民が注目することを訴えます。

■責任を明確に

「何の落ち度もない市民が原発事故で塗炭の苦しみを強いられています。憲法13条に基づく平穏に生活する権利を取り戻すたたかいです」と訴訟の意義を強調する鈴木弁護士。原告を組織する役割を担っています。9月中に1000人の第2次提訴をする準備に余念がありません。

「国と東電の責任を明確にさせる。国と東電に福島の今を原状に回復させる。主目的はそこにあります。福島原発事故被害者の声に真摯(しんし)に、そしてしっかりと耳を傾けてほしい」

着任して7カ月の鈴木弁護士。「冬は寒く、夏は暑い。静岡県より2段階も気候が違って感じます」と慣れない土地に溶け込もうと懸命です。
(菅野尚夫)

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