東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で19日、敷地内に設置した汚染水貯留タンク周辺から水が出ているのが見つかりました。タンク内から高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏れ出たもので、どのタンクから漏れているのかは特定できておらず、漏れ出た汚染水の濃度や総量は不明です。
東電によると、同日午前9時50分ごろ、H4エリア内の北側のタンク群の周囲に設置されている堰(せき)の排水弁から水が出ているのを社員が発見し、弁を閉めました。堰の中には深さ1~2センチメートル程度の水がたまっており、堰の外側領域では縦横3メートル、深さ1センチメートルの水たまりが確認されました。
堰の外の水たまりがある場所は、コンクリートなどを打っていないため、目視で確認された以上の量の水が地中に染み込んでいる可能性があります。
タンクは、高濃度汚染水を処理する過程で「淡水化処理」をした後の濃縮塩水を貯蔵しています。
一方、原子力規制庁によると、水が漏れ出している場所付近で毎時20ミリシーベルト以上の放射線量を測定。規制庁の担当者は「漏えいした水の周辺のみで、けた違いに高い放射線量が確認されている。タンク内には高い濃度の放射性物質を含む汚染水が入っているので、状況的に汚染水が漏れていると推定している」と説明します。
東電は、堰の外の水たまりで、高いベータ線、ガンマ線が検出されたことから「水がタンクから漏えいしたことが否定できない」としています。
排水弁が開いていたことについて、東電は「雨水がたまるので、それを排水するために基本的に開いた状態にしている。万一、汚染水が漏れたときには弁を閉める。漏えいセンサーがついている」と説明しています。ただ今回、センサーが正常に作動したかどうかは未確認だといいます。
東電は同日、原子力規制庁に事故報告をしました。福島第1原発は14日に廃炉に向けた「実施計画」が原子力規制委員会に認可されたばかり。報告は認可以降設けられた規則に基づくもので、今回が最初です。原子力規制庁はどのタンクから漏れているかを早く特定すること、汚染水が漏れた場所の汚染土の回収などを指示しました。
作業員また汚染・・第1の2人、免震棟前でバス待ち
東京電力は8月19日、福島第1原発から退出しようとした作業員2人から、社内基準を超える放射性物質が検出されたと発表しました。2人は直前まで免震重要棟前でバスを待っていましたが、汚染の原因は分かっていません。免震重要棟前に設置されたモニターでは同日午前10時5分、放射性物質の検出を示す警報が鳴っており、東電が関連を調べています。
東電によると、2人は同10時20分ごろ、原発敷地内から出るため正門近くの施設で放射性物質の測定を受け、最大で頭の上部から1平方センチ当たり13ベクレルの汚染が確認されました。東電は退出時の社内基準を同4ベクレルと定めています。
免震重要棟前では12日にも警報が発生し、東電社員10人が頭部など汚染されていたことが確認されています。当時、現場では、熱中症対策として水を噴霧していたため、この水に放射性物質が混じっていたのではないかと疑われましたが、現在それを示す証拠は見つかっておらず、原因は分かっていません。19日には、水を噴霧していませんでした。