誰もいない里山と川の水彩画に「うさぎ追いしかの山 こぶな釣りしかの川 むかしのことよ」の文がはがきに書かれています。
福島県楢葉町からいわき市に避難している障害者施設の施設長、早川千枝子さん(70)が作った絵手紙です。
苦手だったけど
千枝子さんは、2011年3月の東京電力福島第1原発事故で、原発反対の運動を40年来続けてきた夫の宝鏡寺(ほうきょうじ)住職・篤雄(とくお)さんと、障害者12人と楢葉町からいわき市に避難しました。
楢葉町は昨年(2012年)8月から避難区域再編で昼間は立ち入りができるようになりましたが、宿泊はできず帰還には程遠い状況が続いています。
絵手紙を書くきっかけは昨年秋、一時帰宅した時、コスモスが群生したセイタカアワダチソウに隠れるようにして咲いているのを見つけたことです。
絵は苦手だったという千枝子さん。その時の状況を絵に描き、言葉をそえました。
「私たちを見失わないで! コスモス」
千枝子さんは時々、女性団体などの集まりで写真や絵手紙を見せて原発事故被害の話をしてきました。その中で絵手紙がほしいという声がでて、今年の春から2種類の5枚セット、各500円で販売し、その代金を原発裁判と障害者施設の援助に使うようになりました。
二の舞い避ける
早川さんはいいます。
「絵はがきを見た人に原発をなくす大切さを伝えたい。再稼働では私たちの二の舞いになる人が出てくる。それだけは避けなくてはならない」
絵手紙の問い合わせは電話080(1827)1456まで。注文はファクス0246(21)2560(憩いの家)まで。