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福島第1 高濃度汚染水300トン・・タンクからの漏れ過去最悪

(写真)福島第1原発内の汚染水貯留タンク
(写真)福島第1原発内の汚染水貯留タンク

福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で貯留タンクから高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏れ出している問題で、東京電力は8月20日、汚染水の量が推計300トンに達すると発表しました。漏れた汚染水には全部で24兆ベクレルの放射性物質が含まれています。タンクからの汚染水の漏えいは過去に4件発覚していますが、今回は最悪の規模です。

周辺の状況から、漏えい汚染水のほとんどは、タンクの周囲につくられた堰(せき)の排水弁外側の土壌に染み込んだとみられます。漏えいのペースが遅いことから東電は、長期間にわたって漏えいが続いていた可能性を認めました。

漏えいがあったタンクは、護岸から約500メートル離れた26基のタンク群の一つで、直径12メートル、高さ11メートルの円筒形です。タービン建屋などにたまった高濃度の放射能汚染水を処理する過程で出た汚染水をためるもの。

当初ほぼ満水だったタンクの水位が、20日までに約3メートル下がっていることが確認されたことから、東電は漏えい量を300トンと見積もりました。タンクは、溶接せずにボルトで締めて接合するタイプのもので、同型のタンクは350基あります。

東電は、排水弁を常時開けたままにしており、毎日2回の巡回で点検していましたが、18日午後5時の時点では、異常は見つけられませんでした。当初、東電は排水弁に漏えいセンサーがあると説明していましたが、実際にはないことを明らかにしました。

汚染水からは、ベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり8000万ベクレルを検出。水面直上での放射線量は毎時100ミリシーベルトを超えました。縦横3メートルの水たまりに加え、縦0・5メートル、横6メートル、深さ1センチメートルの水たまりも見つかりました。

これまでに数トンの汚染水を回収。東電は、当該タンクから汚染水を別のタンクに移送する準備を進めるとともに、降雨によって汚染水の拡散を防ぐために、土嚢(どのう)のせきの補強作業を行っています。

トリチウム濃度 港湾内で最高値・・福島第1原発

東京電力は8月19日、福島第1原発の港湾内で新たに採取した海水から放射性物質のトリチウム(3重水素)が1リットル当たり4700ベクレルを検出したと発表しました。港湾内で測定を始めてから最高値。

検出したのは1~4号機取水口内の北側で15日に採取した海水。11日に採取した時は同3800ベクレルでした。

また1、2号機取水口間の表層で15日に採取した海水も、最高値の同2600ベクレルを検出しました。

下北半島の地下構造・・規制庁が調査へ

原子力規制庁は8月20日、東北電力東通原発や日本原燃の核燃料再処理工場など原子力施設が多数立地する青森県・下北半島の地下深部の地質構造を調査すると発表しました。規制庁が地質調査などを行うのは発足以来初めて。近く、調査業者を公募し、年度内にも着手します。

規制庁によると、調査範囲は陸奥湾から下北半島を横断、東通原発付近を通って太平洋沖の大陸棚外縁断層(長さ約84キロ)を横切る東西約50キロ。海上は音波探査で、陸上は起震車を使った調査で、地下10キロ付近までの構造を調べ、地上に見えている断層との関連などを解明します。

同断層をめぐっては、活断層かどうかについて議論があるほか、旧原子力安全・保安院時代の専門家検討会でも、下北半島全体の地質構造を調べる必要があると指摘されてきました。規制庁は「調査は断層の評価手法の精度を高めるためのもので、いろいろな審査に役立つ」と説明。再処理工場などの安全審査に直接影響するものではないとしました。

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