福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で貯留タンクから大量の放射能汚染水が漏れている問題で、漏れた汚染水がタンク群を囲む土のうの外側に流れ出て、30メートル程度先の排水溝に達したらしいことが判明しました。原子力保安検査官の報告をまとめた資料で、8月21日の原子力規制委員会の会合で示されました。
資料によると、タンク群の北東角には無線中継所があり、その周囲はコンクリートで舗装されて雨水が流れやすい環境。この中継所に沿うように、汚染水の痕跡が30メートル程度先の排水溝の直近まで続いていました。この地点から海までの排水溝の長さは約700メートル。
痕跡の上流側の放射線量は毎時78ミリシーベルト、下流側は同5ミリシーベルト程度でした。東電も排水溝の壁面で同6ミリシーベルトを計測し、「海への漏出は否定できない」としています。
タンクの漏えい箇所はまだ特定されておらず、漏えいは続いているとみられます。東京電力の提出資料によると、漏えいしたタンクの水位の測定値は、20日午前9時30分時点でタンクの天井部から340センチメートル下、午後3時45分時点で同345センチメートル下でした。測定誤差がプラスマイナス10センチメートルあるため、正確な水位の変動は把握できていません。
東電は20日、漏えいタンクに残っている約700トンの水を、別のタンクに移送する作業を開始しました。