″原発は安い″などと再びメディアで流されるなか、改めて原発のコストを考えようと慶応大学の金子勝教授の講演会が9月10日、東京都内で開かれました。主催は環境団体や個人が参加するeシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)。会場いっぱいの170人が熱心に聞き入りました。
金子氏は、8月に出版した『原発は火力より高い』(岩波ブックレット)をもとに、独自に試算した原発のコストや東電などの財務分析、解決の展望などを語りました。
日本原電や東電の個別原発の試算結果を紹介し、「今後の安全投資や賠償費用を上乗せすると、発電単価はまったく割に合わない」と述べました。そして「ぼくらの出発点は福島の人たち、農民や漁民に心を寄せ、福島を本当の意味で取り戻すこと」と強調しました。東電の財務分析に触れながら「汚染水処理や賠償や除染が進まない根本には、お金がないという危機的状況がある。このままズルズル進むことは賠償や除染をせず福島を見捨てるか、電気料金をさらに高くするか、安全をけちって再稼働するか、という最悪のシナリオ」と警告しました。
東北大学の明日香壽川(じゅせん)教授が、原発コストをめぐる主な議論を紹介しました。