北陸電力志賀(しか)原発(石川県志賀町)周辺の断層調査を続ける日本科学者会議石川支部、原発問題住民運動石川県連絡センターなど4団体と新潟大学名誉教授の立石雅昭氏(地質学)は4月14日、原発北9キロの「富来(とぎ)川南岸断層」とその周辺について、活動性の高さを新たに証明する調査結果を発表しました。「6000年前以降の活動形跡も考えられる」といいます。
(石川県・中西優)
科学者会議など海岸調査
4団体は、昨年(2013年)10月に原発北2キロ付近の福浦地区の海岸を調査し、今年3月には原発南4キロから北8キロまでの海岸部5ヵ所を調査し、計6カ所で「海食ノッチ」の高度を測量しました。
高さが異なる「海食ノッチ」
「海食ノッチ」とは、海食窪(くぼ)ともいい、波の浸食作用などによってできるくぼみです。
4団体と立石氏は、12万~13万年前の海面と、6000年前ごろの海面とがほぼ同じ高さだったことが知られており、隆起がなければ「海食ノッチ」はほぼ同じ高さにあるとして、その高低差を測定しました。その結果、明らかに高さが異なる上下2段の「ノッチ」が各所で見られました。さらに南から北に向かうほど「ノッチ」の高度が上がっている傾向が判明しました。
立石氏は「2段のノッチの高度差を説明するには活断層の存在を考えるのが最も合理的。6000年前にできたと見られる下段のノッチも隆起した形跡があり、近年も地震による隆起が複数回続く、非常に活動性の高い地域だと言わざるをえない」と結論付けました。
立石氏らは「原発の安全性を考える上で、敷地周辺の活断層がもたらす地震動もふまえて検討しなければ、真に実効性のある規制基準とはなりえない」と指摘し、志賀原発周辺の断層の活動もふまえて基準地震動を再検討するよう求めています。
周辺との関連検討する必要
志賀原発については、昨年12月に北陸電力が規制委に断層評価に関する最終報告を提出したのをうけ、今年に入り規制委が現地調査や活断層問題に関する評価会合を開催。「原発敷地内の断層だけでなく、周辺地域の断層との関連性や断層の活動が与える影響について検討する必要がある」との指摘が相次いでいます。