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「基幹は原発」言いたい放題・・経産省審議会、エネ基本計画策定へ

「エネルギー基本計画」策定に向け議論している経済産業省総合資源エネルギー審議会基本分科会(分科会長・三村明夫新日鉄住金相談役)で、原発を今後も維持すべきだという危険な発言が相次いでいます。「基本計画」は中長期的な日本のエネルギー政策の指針です。

原子力政策が議題となった9月4日の分科会では、福井県の西川一誠知事が「原発の必要性、位置づけを明確にすべきだ」と口火を切ると、堰(せき)を切ったように原発推進の意見が続きました。豊田正和・日本エネルギー経済研究所理事長は「本分科会のミッション(使命)は原子力の必要性を明確にすること。一定のシェアを維持すべく新増設の議論もしてほしい」と原発の新増設にまで言及。柏木孝夫・東京工業大学特命教授も「原子力発電を基幹電源の一つ」だとの意見書を提出しました。

「反対」は感情論

山名元・京都大学原子炉実験所教授は「安全保障には原発が重要という意見と、原発は怖いという感情的な意見との対立がある」と原発反対の世論を″感情的″と決めつけ、「エネルギーの安定へ、いまある原発をできるだけうまく使う」との持論を展開しました。

西川氏はさらに、原発の再稼働について審査している原子力規制委員会を「所期の責任を果たしていない」と批判。「時間の観念、原子力の有効利用に対する関心が弱い」と述べ、再稼働が進まないことへのいら立ちを示しました。

経産省の資料からも原発への固執はうかがえます。4日に配布した資料では、原発の特徴として▽供給安定性に優れる▽準国産エネルギー▽二酸化炭素を排出しないので環境に優しい−などいずれも破たんずみの″利点″を列挙。8月27日の分科会では、日本から原発を輸入しようとしている各国要人の期待の言葉を並べ「日本の(原子力)技術には世界から高い期待が寄せられている」と力を込めました。

原発推進論に弾みをつけたのが経団連を招いて聞き取りをした7月24日の分科会です。経団連は、「基本計画では原子力の重要性を明確にすべき」だと主張。迅速な再稼働を求める一方、再生可能エネルギーの普及を促している固定価格買い取り制度と地球温暖化対策税については、廃止も視野に抜本的見直しを要求しました。

その後の議論では、「(電気料金値上げを)家庭はがまんすればいいかもしれないが、産業は高くなれば(海外に)出ていく」(豊田氏)といった経団連に同調する意見が目立つようになります。

日米同盟前提に

「日米同盟を前提に安全保障を考えなければいけない」(増田寛也・野村総合研究所顧問)など、日米安保条約の観点から原子力政策を論じるべきだとの意見が多いのも特徴です。寺島実郎・日本総合研究所理事長は4日の分科会で「日本と米国の原子力産業は宿命的ともいえる連携体になっている」とし、米国との関係抜きに原子力政策は決められないと強調しました。

分科会はこれまで月1回だった開催ペースを9月以降月3回に増やし、「冬に入らない時期に結論を出したい」(三村分科会長)としています。

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