9日に開かれた原子力規制委員会と原発事業者との意見交換会で、事業者側は原発のテロ対策施設の設置期限を詳細な設計などの認可から5年としている現行制度を、さらに3年延長し8年とするよう要請しました。10月中にも規制委の定例会合に報告され、今回の要請の取り扱いが検討されます。
2013年に施行された新規制基準では、原発には意図的な航空機衝突などのテロに対応するため原子炉を遠隔で制御するシステムなど備えた「特定重大事故等対処施設(特重施設)」の設置が義務付けられています。特重施設の設置期限は、当初は新規制基準施行後5年でしたが、15年に審査の長期化などを理由に詳細な設計などの認可から5年に変更されました。
19年に事業者側から、工事が見通しより長期になることなどを理由に経過措置期間を延長するよう要請がありましたが、規制委は工事の困難性は「延長の理由にならない」などとして期限の延長を認めませんでした。設置が期限内に間に合わなかった場合、原発の運転はできません。
事業者は、改定労働基準法(19年公布)が24年に施行されたもとで、建設業界で人手不足が生じていることなどを期限延長の理由に上げています。
しかし意見交換会に出席していた規制委の山中伸介委員長は「前回と何が変ったのかなという印象です。工事が困難であるという意味では一緒。委員会の論点としては議論はしていく」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2025年10月10日より転載)