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エネルギー基本計画 原発優遇の実相/原子力資料情報室事務局長 松久保肇さんにきく(上)

松久保肇さん

コスト安くみせ誘導

 国の中長期のエネルギー政策の方向性を示す「第7次エネルギー基本計画(エネ基)」の案は、それまでの原発の「依存度を低減」から「最大限活用」にかじをきりました。エネ基の原子力政策に関する検討を行った総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会員で原子力資料情報室事務局長の松久保肇さんに問題点をききました。

 (松沼環)

 エネ基に関わって小委では、原子力業界へのヒアリングしか行いませんでした。福島の現状などを聞くこともなく、公開での業界陳情会のようでした。

 小委の結論も極めて一方的です。これからも原子力を使っていく。原子力産業界は苦しいので、存続のために支援が必要だというのです。

売上高は増加

 しかし、原子力産業界の売上高は、むしろ福島第1原発事故前よりも多く、雇用者数も事故前よりも多い。事故後、原発の数は減っていながら、水ぶくれ状態です。これをどうたたんでいくのかを議論しなくてはいけないと思います。

 エネ基の案は、原子力について「優れた安定供給性」を有するなどと規定しています。

 今回、発電コストの検証がされ、原子力はコストの安い方の電源とされました。安いからこれからも原発を活用していくと。しかし、この計算は原発の建設費などを極めて低く計算していて、実際はもっと高くなるはずです。

 一方で、原発を建てるために電力会社などの事業者は、支援が必要だといっている。安いけど支援が必要という、矛盾した話です。

 事業者側は、原発は建設費が高く、将来の投資回収の予見性が低いので、自分たちだけでは建てられないと。そのリスクを国民に押しつけようとしているのです。

経営判断誤る

 事業者は、既存原発の再稼働について経営判断を誤り、安全対策にものすごくお金をかけました。例えば、女川原発2号機の対策費は、7100億円で、当初の建設費2基分以上になってしまいました。

 事業者は、費用が予想以上にかかり、有利子負債が非常に増えてしまったため、それ以外の投資ができないといいます。しかも、審査中の原発もあり、原発はトラブルなどでも停止します。原発のために電力の安定供給に不安が生じています。

 (つづく)

(「しんぶん赤旗」2025年1月30日より転載)