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すいよう特集 原発回帰/巨大地震の不安募る中、老朽炉活用や新増設を叫ぶ。自公政権、代えるのは今

 電力供給力の確保を理由に老朽原発の活用のみならず、新増設にも言及、原発回帰に大きくかじを切ったのが岸田文雄・自公政権。1月1日に発生した能登半島地震では、北陸電力志賀原発(石川県)が被災、近隣では避難道路の寸断など原子力防災の問題もあらわになっています。原発回帰をやめるときです。(松沼環)

■成果うたう首相

 岸田首相は、自民党総裁選不出馬を表明した14日の会見で自らの成果として「原発再稼働、新型革新炉の設置などエネルギー政策の転換」をあげています。原発の最大限活用を掲げた「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」を2023年2月に閣議決定。東京電力福島第1原発事故の教訓を投げ捨て、「原則40年、最大でも60年」だった原発の運転期間について、60年超運転を可能にする法改悪を実施しました。

 これまで再稼働に至った原発は12基。岸田政権下では、運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発(福井県)1、2号機が運転再開しました。再稼働した原発のうち7基は、運転開始から40年超過したか、間もなく40年となる老朽原発です。

 高浜原発1号機など近く50年運転に入る原発も。地震、津波など自然条件の厳しい日本でさらに老朽原発の危険性が加わります。

■再稼働 延期も

 再稼働した原発はすべて加圧水型原発というタイプです。事故を起こした福島第1原発と同型の沸騰水型では、東北電力女川原発(宮城県)2号機、日本原子力発電の東海第2原発(茨城県)、東電柏崎刈羽原発(新潟県)6、7号機、中国電力島根原発(島根県)2号機が原子力規制委員会の審査に“合格”しています。女川原発2号機は今年9月の再稼働の予定でしたが、11月に延期。中国電力は島根原発2号機の12月の再稼働を目指すとしています。東海第2原発は防潮堤工事の施工不良が判明し、再稼働の時期が見通せなくなっています。

 一方、柏崎刈羽原発6、7号機は17年、審査に合格したものの、テロ対策上の不祥事が相次いで発覚し、21年4月に事実上の運転禁止命令が出されました。23年12月に命令が解除されましたが、再稼働への地元の同意が得られず運転再開のめどは立っていません。

■災害避難 無理

 現在10基の原発が審査中です。

 1月1日に発生した能登半島地震では、震源から約70キロ離れた志賀原発1、2号機とも変圧器が損傷し、5回線ある外部電源のうち2回線が受電できなくなるなど原発の地震へのもろさを露呈しました。さらに深刻だったのが、近隣地域で避難道路が損傷して集落が孤立化したことや自宅や避難所が地震で使えなくなったことです。地震と同時に原子力災害が発生した場合に、原子力災害対策指針が定める屋内退避や避難が実行不可能であることが、改めて明らかになりました。

 規制委は近く新規制基準への適合性を認めないとして、原電の敦賀原発2号機(福井県)に初の不許可を出す見通しです。また、中部電力浜岡原発3、4号機も審査中ですが、想定される津波の高さは、すでに建設された高さ22メートルの防潮堤を超える25メートル強とする評価が示されています。

■現実離れ 異常

 原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表の持田繁義さん(日本共産党新潟県柏崎市議)の話 福島第1原発事故に対する国の責任を否定した一昨年の最高裁判決以降、政府の原発回帰が顕著になっています。しかし、能登半島地震が起きて、避難や屋内退避への疑問が出てきています。また南海トラフ地震の臨時情報が初めて発表されました。原発回帰は、地震大国に原発を立地する非常に危険な道であり、現実離れしているとしか言いようがありません。

 新潟県の柏崎刈羽原発7号機は再稼働の準備が整っていて、あとは地元の合意だけの状態です。政府も、経済産業相が首長に電話をするなど、再稼働へ後押しする様相です。

 しかし、柏崎市と刈羽村両議会では再稼働決議をしましたが、他の周辺自治体は再稼働に対して非常に不安で、県議の中にも批判的な立場が目立ちます。能登半島地震は避難の問題など人ごとではなく再稼働自体が異常です。

(「しんぶん赤旗」2024年8月21日より転載)