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ひと 原発の恐ろしさを伝える室崎和佳子さん(76)

 チェルノブイリ原発事故から38年。ロシアのウクライナ侵略で多くの民間人が犠牲となり、町や歴史的建造物も破壊される中、事故の実態を伝える「チェルノブイリ・レポート」を北海道から1月に刊行しました。

 これまでに3度ウクライナとベラルーシを訪れました。親交のあったユーリ・I・バンダジェフスキー博士は、ベラルーシで子どもへの影響や内部被ばくの実情を告発し国外追放され、ウクライナで子どもたちのために研究を続けていました。その研究所のある都市にも、ロシア軍の大砲が撃ち込まれ、「いま書き残さなくては」という使命感にかき立てられました。

 初めて現地を訪れたのは義父の連れ子である被ばく二世の妹が、がんで亡くなった2013年。「核兵器の恐ろしさを改めて知り、妹の死に導かれるように向かいました」

 そこで見たのは、原発事故の5日後のメーデーに合わせて開園するはずだった遊園地、シェルターで覆われた原発。広範囲にわたって草原と化した土地。汚染地帯に戻り暮らす人もいました。

 日本でも福島で原発事故が起きました。それでも、原子力をエネルギー源にしようとしている岸田政権を「時代錯誤はなはだしい」と厳しく批判します。「日本には原発が54基もあります。核でもうける人たちは自分たちのことしか考えていません。原発事故も戦争も被害を受けるのは、そこで暮らす人々なのです」

 文・写真 中上 範子

(「しんぶん赤旗」2024年6月24日より転載)