原発事故の被害、原発と地震、司法のあり方を問い直す「6・17最高裁共同行動 市民シンポジウム」が16日、東京都内で開かれました。日本環境会議が主催し、6・17最高裁共同行動実行委員会が共催しました。
日本環境会議理事長の寺西俊一・一橋大学名誉教授は、「東京電力福島第1原発事故は史上最大の公害問題」だと述べ、事故をめぐって国の責任を否定した2022年6月の最高裁判決をはね返すために「ノーモア原発公害市民連絡会」を発足させ、判決から2年となる17日に行う最高裁を取り囲む要請行動について紹介しました。
シンポでは事故をめぐって多角的に議論しました。
「ふるさとを返せ!津島訴訟」の原告・三瓶春江さん(64)は、「ふるさとを汚されたまま放置していいはずがない。もとに戻すことは国の責任だ」と述べ、広く帰還困難区域になったふるさとで原状回復を求めて裁判をたたかっている思いを語り、「ふるさとに帰りたい思いはどうしてもかなえたい」と述べました。
3人が講演。フリーライターの吉田千亜さんは、被災県にいた子どもたちの被害を聞き取った内容を紹介。福島県浪江町の歌人・三原由起子さんは自作の短歌を交え、「復興の名のもとに原発事故がなかったことにされていく空気感を打ち破りたい」と述べました。
関西電力大飯原発の差し止めを命じた判決を出した元裁判官・樋口英明さんは地震と原発の問題をはじめ、人が管理できなくなった時の事故の被害は想像を絶するほど大きいという原発の本質を踏まえれば、現政権が平気でやろうとしている老朽原発が許されないことなどを指摘。2年前の6・17の最高裁判決の1カ月後には、東電の旧経営陣4人に計約13兆円支払うよう命じる東電株主代表訴訟の判決があり、最高裁の意向に反する裁判官はいるとして、「最高裁判決をひっくり返した時のことを想像してください」と呼びかけました。
(「しんぶん赤旗」2024年6月17日より転載)