「原発事故は国の責任!」「忖度(そんたく)判決おことわり」「司法の独立どこ行った」――。東京電力福島第1原発事故をめぐる国の賠償責任を否定した2年前の最高裁判決を正そうと17日、6・17最高裁共同行動がありました。全国各地の裁判の原告や市民、約1000人が最高裁を取り囲むヒューマンチェーン(人間の鎖)に取り組み、司法の公正さを求めて声を上げました。
実行委員会には、原発事故被害者訴訟の原告団体や原発問題、環境問題などに取り組む16団体が加盟、多くの団体と個人が賛同しています。
実行委員会は、福島原発事故の国に対する各地の賠償訴訟が上告された場合に公正な審理を行うよう求める約3万人分の要請書を最高裁に提出しました。
手を取りあって
伊東達也実行委員長が「本日の共闘が未来に通じる希望となる。手を取りあって進んでいこう」と宣言。「だまっちゃおれん!原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜」の岡本早苗原告団長は、「矛盾と欠落に満ちた判断を社会に残してしまったら、国がとるべき対策を怠って、私たちのように苦しむ人がまた生まれるかもしれない。未来に胸を張って手渡せる社会にしていこう」と訴えました。
ノーモア原発公害市民連絡会代表世話人の寺西俊一・一橋大学名誉教授は「最高裁の名に恥じない公正な対応を強く強く求めたい」と呼びかけました。
ヒューマンチェーンに参加していた阿部節子さん(67)は、4月に最高裁が国の責任を求めた上告を棄却したいわき市民訴訟の原告。「次の人たちのために立ち上がっています」と話しました。
最高裁判決から
福島原発事故をめぐっては、避難者らが賠償を求めて全国で約30件の裁判がたたかわれています。2年前の最高裁第2小法廷は、同様の四つの訴訟に対して、国の賠償責任を否定する統一判断を出しました。それまで複数の裁判所が国の責任を認める判断を示していましたが、最高裁判決後の下級審の判決はすべて国の責任を否定しています。
(「しんぶん赤旗」2024年6月18日より転載)