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石炭依存日本に譲歩/G7環境相会合 原発推進も鮮明

 【ベルリン=吉本博美】イタリア北部トリノで2日間の日程で開催された主要7カ国(G7)の気候・エネルギー・環境相会合は4月30日、二酸化炭素の排出削減対策をしていない石炭火力発電を2035年までに段階的に廃止すると共同声明で合意しました。G7として石炭火力発電の廃止時期に言及したのは初めてですが、日本の主張に配慮して例外措置も併記されており、環境団体からは「抜け穴」と批判が出ています。

 声明は石炭火力発電の廃止時期について「30年代前半」ないし「各国の温室効果ガス排出量実質ゼロに向けた道筋に沿うこと」と明記。事実上35年までの廃止を求めず、発電量の3割を石炭に依存する日本に譲歩しました。

 日本が議長国を務めた23年のG7環境相会合では、欧州諸国とカナダが石炭火力発電の早期廃止に向け廃止期限を設定するよう求めましたが、日本の反対で盛り込まれませんでした。今回も日本は、各国の事情に応じた「多様な道筋」(斎藤健経済産業相)を主張して、石炭火力温存へ動きました。

 声明は、気候危機対策として原子力発電の活用も強調。化石燃料からの脱却と温室効果ガスの排出削減のために有効なエネルギー源としています。

 原発推進は、23年12月の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の会期中、米日仏英カナダなど21カ国が、50年までに世界の原子力の発電容量を3倍にすると宣言したのを引き継ぐもの。

 今年のG7議長国はイタリアで、6月13~15日に首脳会議が南部ファサーノで開催される予定です。

 5月3日 更新

(「しんぶん赤旗」2024年5月2日より転載)