高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分の候補地選定をめぐる検討課題を議論する経済産業省の審議会のワーキンググループ(WG)が29日、開かれました。去年10月に地学専門家ら約300人が発表した「世界最大級の変動帯の日本に、地層処分の適地はない」とする声明を呼びかけた3人が参考人として参加しました。
参考人は小野有五・北海道大学名誉教授、岡村聡・北海道教育大学名誉教授、赤井純治・新潟大学名誉教授。
原発から出る使用済み核燃料を再処理した際に発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分場の候補地選定のために、全国で初めて北海道の2町村を対象とした原子力発電環境整備機構(NUMO)の文献調査の報告書案が今年2月に発表されました。同WGでは、この報告書案の議論を行っています。
岡村氏は、文献調査の対象となった寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村について脆弱(ぜいじゃく)で不均質な岩盤特性だと説明し、「さまざまなマイナス要素がある。文献調査段階ですでに候補地から外すべきだ」と強調しました。
また、小野氏は断層評価に関して「NUMOの評価は全然総合的な評価になっていない」と批判。赤井氏は「地下水の問題が大きい。この委員会だけでなく、広く議論すべきだ」と述べました。
WG後、専門家らは衆院第2議員会館で会見。小野氏はWG議論について、「委員(の発言)も1人に2分間と制限されている。科学的な議論ができないことが問題だ」と、運営上の欠点を指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2024年3月30日より転載)