東北地方沿岸部を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災から13年がたった11日、各党が談話を発表しました。自民、公明、日本維新の会、国民民主などの各党は汚染水(アルプス処理水)の海洋放出推進をあおるばかりで、福島第1原発事故で生じた避難時の混乱などへの問題についてはふれていません。
大震災の当時、政府から自治体に対する連絡が遅れただけではなく、その深刻さが十分に伝えられませんでした。津波で沿岸の道路が使えず、情報の遅れなどもあって深刻な渋滞が発生し、多くの人々が高い放射線量の中を避難せざるを得ませんでした。
元日に発生した能登半島地震では、避難ルートとなっている山間部や沿岸道路の多くが土砂崩れなどで通行不能となりました。15万人の住民のうち、約3万人は被害の大きかった珠洲市、輪島市、能登町に避難する計画となっています。
自公維国の談話は、能登半島地震で改めて明確になった避難計画の問題には言及せず、汚染水の海洋放出を正当化し、その推進をあおっています。
自民は汚染水の「放出による風評影響の抑制に引き続き万全を期す」と強調。公明は「科学的な事実に基づく情報の積極発信に努め、国内外の理解の醸成を図る」と表明しました。
維新は「国内外の一部に科学的根拠もなく非難を続ける向きもある」などと海洋放出反対を訴える人々の声を批判。国民民主は「科学的・技術的基準と客観的評価に基づく適切なものと考える」と政府を擁護します。
能登半島地震は、原発防災の問題を改めて浮き彫りにしました。原発事故による甚大な被害を二度と発生させないよう、政治の責任が改めて問われています。
(「しんぶん赤旗」2024年3月12日より転載)