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2024年度 予算案の焦点 エネルギー 原発推進 火発延命

東京電力柏崎刈羽(新潟県)

 岸田文雄首相は施政方針演説(1月30日)で原子力発電について「引き続き活用を進め」ると強調しました。2024年度予算案は原発産業を優遇し、原発再稼働を加速させる内容です。

 経済産業省は次世代原発開発費を23年度当初予算比で大幅増額。「高温ガス炉実証炉開発」に23年度比5・7倍の274億円、米仏との「高速炉実証炉」共同開発に同3・8倍の289億円を措置しました。文部科学省も破たんした核燃料サイクルなどの研究開発に同5億円増の112億円を盛り込みました。

自治体懐柔狙う

 経産省は原発など発電施設が立地している自治体向けの「電源立地地域対策交付金」に23年度比15億円増の760億円を計上。これとは別枠で長期停止中や避難計画のない原発を対象に交付金などを支給する「原子力発電施設等立地地域基盤整備支援」に同11億円増の112億円を充当しました。運転期間40年超の老朽原発も対象にするなど、再稼働へ立地自治体を懐柔する狙いです。

 岸田政権は昨年5月成立の原発推進5法で改定原子力基本法に原発活用を「国の責務」だと明記。能登半島地震で甚大な被害を受けた北陸電力志賀原発(石川県)や、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働にも前のめりです。

「次世代」というが

 化石燃料の延命にも固執しています。石炭火力発電へのアンモニア混焼等の技術開発に166億円を充当。火発から排出される二酸化炭素を回収・貯留・利用するCCUSの研究開発には同6・5億円増の86・5億円を措置しました。「石油天然ガス田の炭鉱・資産買収等事業に対する出資金」に23年度比2・26倍の1082億円を盛り込むなど、世界の脱化石燃料の流れに逆行しています。

 国は「次世代燃料」に水素を位置付けますが、現在流通するのは化石燃料由来です。経産省は水素の購入支援に新規で89億円を盛り込むなどしました。

 「地球沸騰化の時代」(グテレス国連事務総長)のなか、再生可能エネルギーの導入拡大は急務です。しかし経産省の「太陽光発電の導入可能量拡大等に向けた技術開発」は23年度比でわずか1億円増の32億円。環境省の「地域脱炭素推進交付金」は同75億円増の425億円です。

 再エネの電力を無駄にする電力大手の「出力抑制」の量・日数が23年度に激増しています。原発推進、火発延命の政策が再エネの導入拡大を阻んでいます。

(「しんぶん赤旗」2024年2月1日より転載)