原発ゼロ社会をめざして政策提言をしている原子力市民委員会は27日、「新潟県はなぜ福島原発事故『三つの検証』を骨抜きにしたのか」をテーマにオンライントークを行いました。
元新潟県原子力発電所事故に関する検証総括委員会委員の佐々木寛・新潟国際情報大学教授が講演しました。
同県では、東京電力福島第1原発事故の原因や影響などを検証する技術委員会を含む三つの委員会と、それらを総括する「検証総括委員会」が設置され、それぞれの分野で議論を重ねました。
この検証について佐々木氏は「地域からのボトムアップの検証の試みで、新潟県民のための検証だった」と強調しました。
しかし、総括委は2017年の設置後2回しか開かれず、今年になって委員長を務めていた池内了・名古屋大学名誉教授が解任されました。9月、県は総括委に代わって三つの検証のとりまとめを発表しました。
佐々木氏は「検証を途中で終えてしまった」として、「県民の、県民による、県民のための検証」を実現するため、池内氏らとともに「市民検証委員会」を立ち上げ、県内各地を行脚していると報告。池内氏が、県の検証で取り残されている課題などを示した独自の報告書を公表したことを紹介しました。
佐々木氏は、多くの県民が自分の問題だと考えていく必要があると指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2023年11月29日より転載)