原発から出る放射性廃棄物(核ごみ)の処分問題の現状と未来をめぐり、多数の原発が県内にある福井市で18日、公開市民講演会が開かれました。最終処分場選定にむけた調査に応募しないと決めた長崎県対馬市の住民など、全国から50人以上(オンライン含む)が参加し、活発に議論しました。日本科学者会議福井支部と福井県AALA(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会)の共催。
科学者会議原子力問題研究委員会メンバーの小野一・工学院大学教授が講演し、発電によって利益を得る「受益圏」と、損害や苦痛を被る「受苦圏」との関係性から、この問題を論じました。
小さな村で一般のごみ焼却場を村内につくる場合には受益圏と受苦圏が重なるのに対して、長距離送電が可能な電力事業では両者が分離されて対立が生じる構造があり、そこに問題の難しさがあると強調。さらに原発の立地、使用済み核燃料の中間貯蔵、核ごみの最終処分をめぐる受苦圏同士の対立も引き起こされると述べました。
小野氏は、原発の運転を止めてもすでに生じてしまった核ごみの貯蔵・処分は避けられない“頭の痛い問題”だが、「すべての人が当事者意識をもって問題に対処しなければならない」と訴えました。
参加者は各地の運動を交流。「原発ゼロ」を実現して初めて、核ごみの総量管理ができるなどと議論しました。
(「しんぶん赤旗」2023年11月21日より転載)