東京電力福島第1原発事故を引き起こした国の責任を認めないとする昨年6月の最高裁判決を正すため、市民や専門家などが17日、「ノーモア原発公害市民連絡会」を発足させました。衆院議員会館で発足式とシンポジウムを開催。オンラインを含め200人が参加しました。
発起人ら118人
同会には同日までに、研究者や弁護士、ジャーナリストなど118人の発起人と特別賛同人が参加。直木賞作家の高村薫氏など幅広い分野の人たちが名を連ねます。
発足式では、世話人事務局の寺西俊一・一橋大学名誉教授が活動方針について説明。国の責任を認めさせるために、昨年6月の最高裁判決を出した法廷とは別の法廷で是正させることを軸に、被害者の全面救済や原発公害の不安と脅威のない社会実現のための政策転換を求めていくと語りました。「この問題は法廷の中だけでは突破できない。(連絡会は)法廷外から世論を盛り上げる世論づくりの取り組みだ」とあいさつしました。
福島原発被害弁護団の小野寺利孝共同代表は、裁判でのたたかいは金銭だけの問題ではなく「もとの豊かなふるさとを取り戻そうとするのが、被害者の基本要求だ」と力を込めました。また、原告だけでなく市民や将来世代にかかわる問題だと強調し、「(市民が)全国的うねりをつくっていく取り組みは初めてだ」と、協力を呼びかけました。
シンポジウムでは、2014年に関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止めの判決を出した樋口英明・元福井地裁裁判長が講演。最高裁判決の問題点を解説し「過去の出来事の判断をする能力がない人が、将来に対する責任を持ちようがない」と厳しく批判しました。
また、原発被害者が原発公害による苦しみを訴えました。すべての原発を今年4月に停止したドイツから、ドイツ脱原発倫理委員会委員がオンラインで発言しました。
今後は、全国でセミナーや集会を開き世論の関心を高めるとともに、署名活動を行う予定です。気軽に参加できるようサポーター制とし、支援を呼びかけていきます。
(「しんぶん赤旗」2023年11月18日より転載)