日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 原発 気候危機にリスク・・研究者ら脆弱性に警鐘 解決策は省エネ・再エネ

原発 気候危機にリスク・・研究者ら脆弱性に警鐘 解決策は省エネ・再エネ

気候危機に役立たない原発。写真は関西電力高浜原発=2019年、福井県高浜町

 原発は気候変動対策として使えるシステムなのかを検討する「原発の気候変動脆弱(ぜいじゃく)性研究会」は31日、報告書を発表しました。気候変動による異常気象が原発に与える影響や経済性などについて、警鐘を鳴らす内容です。

 同会は、NPO法人「原子力資料情報室」が昨年6月に立ち上げたもの。同日にオンラインで行われた記者会見で、鮎川ゆりか千葉商科大学名誉教授は、気候変動が原発に与える影響について海外の事例や研究をもとに説明。気候変動関連事象による原発の運転停止件数は2000年代以降、急増しているといいます。

 熱波による干ばつや水温上昇に伴う原発の閉鎖や発電量の抑制、森林火災で近隣の原発作業員が避難し、運転停止になった事例など、海外では研究が進んでいると述べました。

 また、海面上昇や高潮などによる浸水、豪雪による交通網の遮断リスクをあげ、「日本は危機的状況に進展している気候変動に対し、(原発に)大きなリスクがあると考えていない」と批判しました。

 松久保肇原子力資料情報室事務局長は、政府が強調する原発のCO2排出量の低さのまやかしについて報告。計画から稼働まで約20年かかる原発はその間、既存の発電に依存し、CO2を排出し続けると指摘。100年単位で比較した場合、原発は太陽光や風力発電の十数倍から数十倍ものCO2を排出すると推計されることを紹介しました。

 また、CO2排出量削減の費用対効果において、新設の発電コストが上昇している原発は削減への寄与度が低く、再エネは大きいと述べました。

 原発問題と気候変動の共通点に言及したのは、大島堅一龍谷大学政策学部教授。不可逆的被害をもたらすことや身体的・社会的弱者に被害が集中する不均等な被害を与えると指摘し、共通する解決策は「省エネと再エネによるエネルギー転換だ」と強調しました。

(「しんぶん赤旗」2023年11月1日より転載)