東京電力は10月9日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で、汚染水の塩分を除去する装置で作業中にミスがあり、建物内に高濃度のストロンチウム90などが含まれる汚染水が漏えいしたと発表しました。当時、東電社員がおらず、現場で作業していた関連会社の作業員11人のうち6人が被ばくしたといいます。漏れた量は約7トンで、建物内の堰(せき)内にとどまっているとしています。
東電によると、汚染水の漏えいは9日午前9時35分ごろ。放射性セシウムの濃度を減らした汚染水から塩分を除去する「淡水化装置」のホース取り外しの工事をしていた作業員が誤って、別のホースの接続部を外したといいます。約1時間半後に接続部をつなぎ直すなどして、漏えいは止まりました。6人の被ばく線量はベータ線では最大1・2ミリシーベルト。ベータ線は、セシウムなどが放射するガンマ線と比べれば透過力は弱いものの、汚染水に触れたり、近づいたときなどの局所被ばくが心配されます。
漏れた汚染水は建物の床面全体に広がっており、長さ60メートル、幅12メートル、深さ数センチの堰内にたまっているといいます。
装置内の汚染水を8月13日に測定した時、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり3400万ベクレル、セシウム137が同1300ベクレル含まれていることがわかっています。
福島第1原発では、傾いた場所に設置したタンクに水を「入れ過ぎて」高濃度の汚染水を海に流出させたり、放射性物質を含んだ水を誤って別のタンクに移送して、タンクから汚染水があふれるなど、人為的なミスが相次いでいます。