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朝の風/汚染水問題は終わらない

 「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という漁業者との約束を破って、政府は汚染水(ALPS処理水)の海洋放出を始めた。科学的には安全であり、問題は風評被害だというのが政府の見解である。

 しかし、海洋放出が「現実的」であると答申した政府の小委員会も、トリチウムは「他の放射性物質と比較して健康への影響は低い放射性物質」であるが、「影響が出る被ばく形態は内部被ばく」であると認めている。東電は「人、環境への影響は極めて軽微であることを確認した」と言う。そのうえで、他の放射性物質を含め、基準値以下をさらに希釈して海洋放出するので問題はないというのだ。海洋に放出された放射性物質は長期にわたって海水中にとどまる。しかも、海藻が取り込み、それを魚が食べ、内部被ばくや生物濃縮されるリスクもある。長期にわたるモニタリングをしなければ、希釈したから安全だと言うことはできない。

 放射性廃棄物の海洋投棄を禁じたロンドン条約の締約国会議に出席しているNGO「グリーンピース」が、3・11後、日本の汚染水の海洋放出が争点になっていると報告している。今後、半世紀以上の長きにわたって、汚染水を海洋に放出し続けることができるとは思えない。(梟)

(「しんぶん赤旗」2023年9月12日より転載)