8月から開始された東京電力福島第1原発の汚染水(アルプス処理水)海洋放出をめぐって漁業者を含む福島県内外の住民151人が8日、放出の差し止めを国と東電に求める行政訴訟と民事訴訟を福島地方裁判所に起こしました。
住民は、国に対して昨年7月と今年5月に東電に行った特定原子力施設にかかわる実施計画の変更認可の無効を確認して認可を取り消し、使用前検査終了証交付を取り消すように、東電に対して汚染水の海洋放出の中止を求めています。
この日、福島市で原告や弁護団、支援者ら約100人が、提訴前と提訴後に集会を開きました。
原告弁護団の広田次男氏が裁判の意義について、北村賢二郎氏が訴状の内容について説明し、河合弘之氏が訴状を解説しました。
汚染水を故意に放出することは原発事故を引き起こした国と東電による「二重の加害」であり、漁業者の漁業行使権や人格権、県民らの「平穏に生活する権利」が侵害されるとしています。
汚染者負担原則に違反し、放射性物質の海洋投棄を禁じたロンドン条約の1996年議定書などに違反すると指摘。福島県漁連と交わした約束をほごにするなど、手続き上も違法だとしています。
集会では原告が「震災を経験した私たちがこれ以上放射能汚染を広げるなと声を上げる責任がある」「倫理的、道徳的にただすため、声を上げてなんとしても勝ちたい」とこもごも決意を語りました。
(「しんぶん赤旗」2023年9月9日より転載)