岸田内閣が東京電力福島第1原発の汚染水(アルプス処理水)の海洋放出を24日に開始すると決定したことについて、各団体は23日、抗議談話・声明を発表しました。
福島・宮城・岩手生協連
福島、宮城、岩手3県の生活協同組合連合会の会長は22日、岸田政権が決定した東京電力福島第1原発の汚染水(アルプス処理水)の海洋放出について反対し、凍結・中止を求めると、連名で意見表明しました。
福島県・佐藤一夫、宮城県・冬木勝仁、岩手県・飯塚明彦の会長理事3氏は、漁業者はもとより国民の理解醸成が不十分ななか、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という政府、東電と地元漁業者の約束を反故(ほご)にした決定であり、納得がいかないとしています。
共同通信社の全国世論調査(7月)では海洋放出に関する政府の説明について「不十分だ」が80・3%にのぼり、国民全体への理解醸成の努力が不足していると指摘。今やるべきは国民的な理解、風評被害対策、安全性の担保、国際社会の理解醸成であり、このままでは震災復興のために払われてきた12年以上の努力が水泡に帰すと述べています。
自由法曹団
東京電力福島第1原発から出る汚染水(アルプス処理水)の海洋への放出決定を受け自由法曹団(岩田研二郎団長)は23日、抗議声明を発表し、海洋放出の即時停止、他の処分方法の実行、抜本的な止水対策を求めました。
声明は、海洋放出が、2015年に政府・東電が「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」とした福島県漁連との約束をほごにするものだと指摘。
また「抜本的な止水対策を取ることなく、不十分な対策で汚染水を発生させ続けてきた結果、海洋放出に踏み切ったことは、はなはだ遺憾であり、海洋放出による被害は政府および東電の責任」だと厳しく批判しました。
全商連
全国商工団体連合会(全商連)は23日、「原発汚染水の海洋放出を決定した岸田政権と東京電力に抗議し、その撤回を求める」との岡崎民人事務局長の談話を発表しました。
国民の懸念の声を切り捨て、漁業者への約束をほごにする政治に民主主義のかけらもないと岸田政権を批判。廃炉目標の2051年までに汚染水(アルプス処理水)の保管タンクをゼロにできるという東電の姿勢は極めて無責任だと指摘しました。政府と東電が風評被害対策を講じること自体、風評被害が起きることを前提としており、漁業関係者・住民の復興への努力を踏みにじるものだと強調しています。
「甚大な影響と被害を日本中に広げる原発汚染水の海洋放出を直ちに中止し、汚染水の発生を止めることとあわせ、原発ゼロ・再生可能エネルギーへの転換を強く求めるものである」としています。
広島県原水協
広島県原水協は23日、岸田政権が決定した東京電力福島第1原発から出る汚染水の海洋放出について、中止を求める抗議文を岸田文雄首相に送付しました。
抗議文は「漁業者など関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」との国民や福島県民への約束を「公然と踏みにじるものであり、到底許すことができない」と厳しく非難。汚染水の海洋放出強行は、「漁業はもちろん、関連する水産加工業や農業・観光などにも影響が及び、福島の復興には大きな障害となりかねない」と中止を求めています。
(「しんぶん赤旗」2023年8月24日より転載)