11年3月 原発事故発生。海水から高濃度の放射性物質を検出。
4月 放出基準の1億倍超の高濃度の汚染水が海に流出。東電は「高濃度汚染水の移送先を確保するため」として放射性廃液(放出基準の最大1000倍)を意図的に海に放出。
13年3月 多核種除去設備(アルプス)の運用を開始。
4月 地下貯水槽から土壌への汚染水漏えいが発覚。移送中にも漏えい事故発生。
5月 海岸近くの地下水汚染が判明。以前から専門家が汚染水の海への継続的流出を指摘していたが、東電は認めず。
7月 東電が、汚染地下水の海への流出を認める。公表を参院選後に遅らせたことが、当時の安倍晋三政権への“忖度(そんたく)”ではないかと疑念を呼ぶ。
8月 タンクから高濃度汚染水300トンが漏れ出す重大事故が発覚。一部は排水溝を通じ海へ流出したとみられる。ずさんなタンク管理も明らかに。試験操業延期に追い込まれた漁業者から「これまでの努力が無になった」と抗議の声。
13年9月 国の原子力災害対策本部が、東電任せにせず「国が前面に出て、必要な対策を実行していく」と決定。安倍首相が五輪招致のための演説で、汚染水の状況は「コントロールされている」と発信し、世界に不信を広げる。
14年5月 原子炉建屋への地下水流入による汚染水の増加を抑制するため、上流の地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」の運用を開始。漁業者ら「苦渋の決断」として受け入れ。
8月 海側遮水壁の完成目前に、遮水壁閉合のためには汚染地下水をくみ上げて浄化処理した後に海に放出する運用(サブドレン計画)が必要だと唐突に発表。不誠実な説明が漁業者らの強い反発を招き、計画はストップ。
15年2月 放出基準を大きく上回る汚染水が降雨時などに排水路を通じて外洋に流れ出ていることが発覚。
8月 海側遮水壁を閉合して完成させるため、漁業者が再び苦渋の決断をしてサブドレン計画を受け入れ(運用開始は9月)。その際、漁業者は、アルプス処理水に関してはタンクで厳重に保管し、漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対行わないよう求め、政府・東電は「関係者の理解なしには、いかなる処分も
行わない」と約束。
18年9月 アルプスで処理した水の8割に、トリチウム以外の放射性物質が放出基準を超えて残存していることが発覚。
20年2月 政府の小委員会が処理水の処分方法についての報告書を公表。海洋放出案について「現実的な選択肢」とする一方、「社会的影響は特に大きくなる」と指摘。
21年4月 菅義偉政権が処理水を海洋放出する方針を発表。開始時期を「2年程度の後」と表明。漁業者側は「到底容認できない」と抗議。
8月 東電が海洋放出のための設備の計画を公表。
22年8月 東電が放出設備の工事を開始。
23年1月 岸田文雄政権が、放出開始時期を「今春から夏ごろ」とする方針を決定。漁業者は「海洋放出に反対であることはいささかも変わるものではない」と表明。
6月 放出設備の工事が完了。
7月 国際原子力機関(IAEA)が海洋放出計画について「安全性に関する国際的な基準を満たしている」とする包括報告書を公表。原子力規制委員会が、設備の使用前検査の終了証を東電に交付。
8月 岸田政権が、早ければ24日に海洋放出を始めると表明。
(「しんぶん赤旗」2023年8月23日より転載)