原発ない日本 子や孫に・・統一行動デモ参加者の思い/自分たちが変える 安全なエネルギーを
10月13日、東京・霞が関、官庁街を埋め、政府がすすめる原発再稼働に抗議した原発ゼロ☆統一行動の巨大デモ。戸惑いながら初めて抗議を表現した青年や、子どもたちに安全な未来を渡したいと歩いた親たちの姿がありました。
強い日差しが照りつけるなか、ぐっすりと眠る1歳の娘を抱いた東京都江東区の伊藤亜季さん(35)。ベビーカーの周りでも8歳と4歳の娘がはしゃいでいました。
放射能で汚された地球を子どもたちに手渡したくないという一心で参加しました。
夫は福島県郡山市の出身。原発事故後、娘たちを夫の実家に連れていくことに不安を感じるようになりました。
「夫の父と母も、遊びに行くと心配します。娘たちのいとこも自由に外で遊べなくなってしまいました」
郡山市では、祖父母が丹精込めて野菜をつくります。「これは検査したから大丈夫と、祖父母の方が気を使って言ってくれる。何も悪くないのに、とても切ないです」
子どもたちに安全なエネルギー政策を手渡せるかは私たちの世代の責任だと、伊藤さんは考えます。「何もしないでいることはできない。この現状を変える努力をしたい」
原発ゼロ 国民多数の声 日比谷公会堂集会
13日に日比谷公会堂で開かれた「原発ゼロ☆統一行動」の集会では、開会30分前には2000人分の整理券がなくなり、公会堂の外でも大勢の人たちが中の様子を伝えるスピーカーに耳を傾けました。
主催・共催者を代表して、首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフさんと原発をなくす全国連絡会の篠原義仁さん(弁護士)があいさつしました。
篠原氏は「福島原発の汚染水問題は深刻な事態になっており、事故は収束していない。収束宣言の撤回、原発の再稼働・輸出の断念、原発ゼロの実現、被災者への全面賠償こそ国民多数の声です」と強調しました。
福島から参加した和田央子さん、医師の肥田舜太郎さん、作家の大江健三郎さんが報告に立ちました。
和田さんは、生活する塙町に隣接する鮫川村に国が設置した廃棄物焼却施設の危険性を告発。「住民を内部被ばくの危険にさらすことは許せません。汚染廃棄物は、汚染者である東京電力と国の責任で処理してほしい」と訴えました。
広島で被爆した肥田さんは、被爆直後から被爆者の治療をした経験、アメリカが放射線による被害を隠し続けてきたことを批判。「生きている間に原発のない、放射能におびえずに暮らせる日本をつくり、子や孫、その先の世代に渡しましょう」と呼びかけました。
「原発の問題は、人間が人間らしく暮らせる環境を残すかどうか、という本質的な問題です」と語った大江氏。原発に反対する現実的な運動が重要だとし、「再稼働の動きを確実に押し返していきましょう」と呼びかけました。
鎌田慧さん(ルポライター)が閉会のあいさつをしました。
原発ゼロ☆統一行動 立地県から集う
コントロール発言許せない 福井
食料庫の役割を果たせない 北海道
福島の人の話を聞きたくて 愛媛
東京都内で行われた10月13日の原発ゼロ☆統一行動には、原発立地自治体からも多数が参加。「再稼働許さない」「福島の教訓生かす」との声が上がりました。
原発15基があり、原発銀座といわれる福井県からは、30人余りが参加しました。
同県坂井市の藤岡ひとみさん(57)=ケアマネジャー=は、仲間といっしょに毎月11日に原発ゼロを訴えています。「いま原発は1基も動いていないけど電気は十分供給できています。絶対に再稼働させるなという思いできょうは参加しています」と強調しました。
孫が8人いる藤岡さん。安倍晋三首相が東電の福島第1原発の汚染水漏れについて「コントロールされている」と発言したことも「許せない」と憤ります。「一度事故がおきれば簡単には収束しないのが原発の怖さです。子孫の未来は平和で安心してくらせる日本にしなければ」
「泊原発の廃炉をめざす会」ののぼり旗を持ち参加したのは菅原哲也さん(55)=北海道芽室町=。「十勝の食料自給率は2000%以上です。北海道の西側にある泊原発に何かあれば全国の食料庫の役割を果たせなくなる」と強調しました。
原発問題住民運動宮城県連絡センターの桜井達郎さん(64)は、27日に投票の宮城県知事選挙でぜひ、原発に反対する知事を誕生させたいと話します。桜井さんは宮城県との県境にある福島県新地町で震災に遭い、津波で家を流されました。当時、余震がおきると津波警報が出され、高台に避難、一方で放射能の影響があるから家屋の中に入っているよう指示があった経験に触れ、「再稼働どころじゃない」と力を込めました。
「浜岡原発の永久停止・廃炉、日本から原発をなくす署名」を集めていた竹端尚美さん(38)は静岡県三島市から参加しました。全国規模の集まりに参加するのは初めてです。
「薬剤師という仕事柄、ヨウ素剤を家庭に配るなど、事故前から原発の安全性について考える機会があった」といいます。事故後、ヨウ素剤の問い合わせが増えました。「福島原発の教訓に学び、若い世代が放射能について関心をもつことは大事です。原因となる原発そのものをなくすことも同時に考えてほしい。私も一緒に行動していけたら」と話しました。
政府が再稼働一番手を狙う伊方原発。松山市などで活動をしている「伊方原発をとめまっしょい☆若者連合」のメンバー5人は、朝一番の飛行機で上京しました。大学4年生の2人は初参加です。男性(22)はサウンドカーの後ろを歩き「ラップとかで訴えていて、デモのイメージが変わった」といいます。
誘ったのは友人の女性(22)です。チラシを見て、「福島の人の話を聞きたい」と思い若者連合に連絡しました。原発にはどちらかというと賛成だといいます。「エネルギーとして原発がなくなったら生活できないのではという思いと、いったん事故がおきたら健康被害がおきる状況に、複雑な思いになった」。2人は、代替エネルギーや被爆の問題など、今後も勉強していきたいといいます。
笠井・吉良・・両議員デモ
日本共産党の笠井亮衆院議員と吉良よし子参院議員は10月13日、「原発ゼロ☆統一行動」のデモ行進に参加して、「原発いらない」「海を汚すな」とコールしました。
笠井議員は「再稼働反対」と書いたタオルマフラーを、吉良議員は「NO NUKES」と書いたプラカードを手に「原発ゼロ」を訴えました。
原発なくせ 各地で
青森
青森県の核燃料サイクル施設立地反対連絡会議は10月13日、東京で開催された「10・13NO NUKES DAY全国統一行動」に連帯する「核燃・原発ゼロあおもり集会」を青森市の駅前公園で行いました。
朝から降り続く弱い雨と冷たい海風が流れ込む肌寒さの中、県内各地から200人が参加しました。
集会では、主催代表委員の奥村榮氏、核燃・だまっちゃおられん津軽の会の宮永崇史代表、下北の原発・核燃を考える会の櫛部孝行代表、原発なくそう!西北五連絡会の水島康夫代表が決意を述べ、「青森県だからこそ原発・核燃なくせの声を大きく」と連帯を呼びかけました。
参加者は「六ヶ所核燃料サイクル施設、東通原発、大間原発、むつ市中間貯蔵施設等の稼働と建設を即刻中止し、未来に安全、安心なエネルギーを保障する政策への転換を求める」集会宣言を採択。集会後、市街をデモ行進しました。
静岡
静岡市葵区で13日、「10・13 NO NUKES DAY原発ゼロ統一行動in静岡」が行われ、集会・パレードに350人が参加しました。主催は「浜岡原発廃炉・日本から原発をなくす静岡県連絡会」(原発なくす静岡の会)や県内で「金曜アクション」を毎週行っているメンバーなどで構成する実行委員会です。
繁華街パレードでは「浜岡原発(御前崎市)いらないよー♪子どもを守ろう♪再稼働反対♪」と大声でコール。ギターやドラム隊のにぎやかな演奏で、原発の危険性を訴えて歌いました。お遍路さんやオバケの仮装や着ぐるみ姿の人たちもいました。
子どもと一緒に参加した芦澤牧子さん(46)=葵区=は「人類と原発は共存できない。早くなくして」と話していました。
集会で、林克(かつし)・原発なくす静岡の会代表や、日本共産党静岡県委員会の森大介常任委員などが交代で「原発ゼロに向け力を合わせよう」と訴えました。