原子力規制委員会の汚染水対策検討ワーキンググループの会合が10月15日開かれ、東電が示した、福島第1原発の汚染水貯留タンクの周りを囲む堰(せき)内にたまった水の放出暫定基準を了承しました。会合では疑問も出されました。無制限な放出につながりかねず、汚染の拡大が心配されます。
暫定基準は、セシウム134が1リットル当たり20ベクレル、セシウム137が同30ベクレル、ストロンチウム90が同10ベクレルのいずれの濃度も下回る水は堰の排水弁を開けて堰外に放出できるとし、濃度を超えるものは別のタンクに回収します。基準にはトリチウム(3重水素)は考慮されていません。
東電は放出する際、別のタンクにいったんためて濃度を測定し、基準未満を確認するといいますが、台風によっては管理しきれない場合があると説明しました。
規制委側からは、トリチウムは無視できず、基準を超える可能性があるのではという疑問や、放出する前にいったんためるタンクの容量が少ないと懸念を表明する意見もありました。しかし、規制委の更田(ふけた)豊志委員は「台風が近づいている。決める必要がある」と述べました。