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原発推進法案 笠井氏の反対討論(要旨)

 日本共産党の笠井亮議員が27日の衆院本会議で行った反対討論の要旨は、以下の通りです。

衆院本会議

 東京電力福島第1原発事故から12年、いまだ事故は終わっていません。被害が深刻化しているにもかかわらず、「原発回帰」へと大転換する本法案を、わずか1カ月足らずの審議で採決するのですか。「あの事故を忘れたのか」と国民の怒りの声が上がるのは当然です。

 反対理由の第1は、脱炭素を口実に、原発を「最大限活用」し、その利用を将来にわたり固定化・永続化するものだからです。

 原子力基本法に原発利用を「国の責務」と明記し、「安定的な事業環境整備」を行うとする本法案は、財界や原子力産業界の要求を丸のみしたものであり、「原子力産業救済法」にほかなりません。しかも核のゴミ処分は見通しがなく、核燃料サイクルはすでに完全に破たんしています。

 第2は、福島第1原発事故の反省と教訓から生まれた「原発運転期間の原則」「推進と規制の分離」を踏みにじるものだからです。

 原子力規制委員会は、原発の停止期間を運転期間から除外せよとの、原子力産業界の要求を、「時計の針は止めない」とはねつけてきました。ところが、運転期間の規定を推進側の経済産業省が所管する電気事業法に移す本法案は、経産相の延長認可によって、最長で東日本大震災から12年間の時計の針を止めるものです。

 延長は何度でも可能であり、現行法にあった1年前までという申請期限もなくなりました。その審査には科学的・技術的要素はなく、形式的な事項を確認するだけです。しかも非公開で全くのブラックボックスです。

 現行法は原則40年で廃炉なのに、老朽原発の70年超の運転さえ可能とする仕組みになることを、審議の中で政府は認めました。こんな重大な法案を、推進側の資源エネルギー庁と規制側の原子力規制庁が進めていたことは、言語道断です。

 原子炉圧力容器の設計寿命は40年。原発が停止している間も経年劣化は進み、安全上のリスクは増大します。運転開始から60年以降の劣化状況の審査方針すらまだ決まっていません。

 第3は、「電源のあらゆる選択肢」を口実に原発を推進することが、再生可能エネルギーの導入をいっそう阻害するものになるからです。

 再エネこそ、エネルギーの安定供給と自給率向上に大きな力を発揮します。破局的な気候危機回避には、もはや一刻の猶予もありません。世界で広がる再エネ100%の取り組みに、経済界・産業界の期待も需要も高まっています。わが国は再エネ潜在量が電力量の7倍も存在する、「再エネ資源大国」です。

 いまこそ、地産地消型で地域経済活性化に資する再エネ最優先で、多くの国民が願う「原発ゼロ」に転換することを強く求めます。

(「しんぶん赤旗」2023年4月28日より転載)