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原発事故の責任は国にあり/公害弁連 最高裁判決克服シンポ

 「福島第1原発事故の責任は国にあり! 6・17最高裁不当判決を乗り越えるために」と題して、全国公害弁護団連絡会議は22日、東京都内でシンポジウムを開きました。全国で続く原発被害訴訟でいかに国の責任を認めさせるか、弁護士や原告らが意見交流し学び合いました。オンラインを含め120人が参加しました。

 事故で避難した住民が東京電力と国に損害賠償を求めた四つの訴訟で最高裁は昨年6月、国が東電に津波対策を命じていたとしても事故は防げなかったと国の責任を否定。今年3月、「いわき市民訴訟」の仙台高裁判決も国の責任を認めませんでした。

 シンポでは三つの基調講演がありました。いわき市民訴訟共同代表の小野寺利孝弁護士は訴訟の経過や成果を報告。一方で、最高裁判決を克服する運動を全国で高めきれていないとして、全国の原発訴訟弁護団をはじめ、脱原発や汚染水問題などの運動と連帯し、「国民的な協働を呼び起こす必要がある」と力を込めました。

 公害などの賠償問題を研究する吉村良一・立命館大学名誉教授は、福島事故の被害や権利侵害をより踏み込んで明らかにすることを強調。「国策」で原発政策を進めてきた問題に「正面から切り込むことが大事」だと述べ、対策を講じても被害発生の可能性が残るなら、原発の設置稼働をやめるべきだという視点での議論を提起しました。

 原発訴訟に関わった裁判官らの証言を著書にまとめた磯村健太郎・元朝日新聞記者は「裁判官も生身の人間で、社会の縮図ではないか」と述べ、原発の危険性を広く市民に訴え、世論を動かす重要性を強調しました。

 伊東達也・いわき市民訴訟原告団長がオンラインで決意表明。岸田文雄政権による原発回帰を批判し、「『二度と福島事故を繰り返すな』の一点で団結し、最高裁を包囲しよう」と呼びかけました。

(「しんぶん赤旗」2023年4月23日より転載)