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ドイツ 全原発停止「運動の勝利」 市民ら祝賀集会・デモ/「両親がまいた小さな種 実った」

エムスラント原発前で電源スイッチを切る場面を演じる人たち=15日、リンゲン

 【リンゲン(ドイツ北西部)=桑野白馬】ドイツ国内のすべての原子力発電所が15日深夜、停止しました。最後まで稼働していた3基のうちの一つ、北西部リンゲンにあるエムスラント原発では、この日、反原発運動に取り組んできた市民ら約350人が、「歴史的な日」「長年の運動の勝利だ」と原発の歴史の終わりを祝う集会やデモを行いました。

 デモ行進は、リンゲンにある国外の原発向けの核燃料製造工場を出発。「ついに閉鎖」と書いた横断幕を持ち寄り、「原発はすべて停止だ」と唱和しながら、エムスラント原発まで行進しました。

 集会には、原発の電源スイッチの大型模型も登場。レバーを倒し「オフ」にすると歓声が上がりました。音楽家のアンドレアス・オットメアさん(60)は「勝利の一歩」と評価。「反原発を訴えてきた両親がまいた小さな種が実った。諦めないで続けることが肝心だ」と話しました。

 ルイス・モントワルさん(24)は、2011年の福島第1原発事故の発生を当時ニュースで知りました。「怖かった。以来、こんなに危ないエネルギーを将来に残したくないと運動を続けてきた」と語りました。

 反原発団体「環境保護市民イニシアチブ・リューホフ・ダンネンベルク」のエリザベス・レッカース共同代表は、放射性廃棄物の処理が今後の大きな課題だと指摘。「世代を超えた透明性のある議論が求められる」と強調しました。

 国内の原発は全て停止する一方、エムスラント原発近くの核燃料製造施設は操業を継続。同施設を所有する仏フラマトム社は、ロシア企業との合弁による東欧向け核燃料製造を計画しています。集会では、核燃料製造も停止すべきだと声が上がりました。

 ロシアの環境活動家ウラジミール・スリビャク氏は、施設で生まれた利益が「ロシアの支援につながる」と警告し、「閉鎖すれば欧州の平和につながる」と指摘。参加者からは連邦政府が介入すべきだとの声があがりました。

 この日、南西部ネッカーウェストハイムやベルリン、ミュンヘンでも集会が開かれました。

(「しんぶん赤旗」2023年4月18日より転載)