福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水漏れ事故をめぐって、海に続く排水溝の水や漏えいタンク近くの地下水の放射能濃度が急上昇している問題で、高濃度の放射性物質の検出が依然、続いています。
東京電力は10月19日、汚染水300トンが漏れたタンクの北側の観測井戸(E―1)で18日に採取した水から、1リットル当たり30万ベクレルの全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)が検出されたと発表しました。外洋につながる排水溝の下流(C―2地点)で18日に採取した水からは同1700ベクレルを検出。いずれも前日より少し下がったものの高い水準です。
東電自身が原子力規制委員会に示して了承された、たまり水の放出基準は、ストロンチウム90が同10ベクレル未満。今回、排水溝から海側に流れている水は、全ベータの値から考えて、基準値をはるかに上回る可能性が濃厚ですが、東電は流出を止める対策をとれていません。
一方、東電は18日、台風26号の大雨で汚染水貯蔵タンク群を囲う堰(せき)内にたまった水のうち、敷地内の地面などに排出した量が推計2400トンになることを明らかにしました。仮設タンクなどに回収した量もほぼ同量で、そのうち地下貯水槽に移送された量は200トンでした。
東電は当初、たまり水は仮設タンクに移送してから放射能濃度を測定し、基準値を下回った場合に排水するとしていました。しかし今回、東電は移送の手順を省いて、堰内で水の濃度測定をした後、直接排水しました。地下貯水槽は、4月に汚染水漏れが発覚したため使用を中止していましたが、今回、9月に高濃度の放射性物質が検出された堰の水を、漏えいが発覚したのとは別の貯水槽に移送しました。