きょうの潮流

 資料の不備が続発し審査が中断する事態に―。原発の安全上、重要な地質関連の資料です。担当する原子力規制委員会の委員が「審査に耐える資料を出して」と求めたのを聞き、あきれました▼原発専業の日本原子力発電が所有する敦賀原発2号機(福井県)の審査です。規制委は資料の不備をいちいち訂正する対応では間尺に合わないと、申請書の補正を8月末までに求める行政指導を行い、審査の中断を決めました。中断は2回目。これ自体、尋常ではありません▼この原発では、原子炉建屋の直下を通る断層が将来動く可能性のある活断層かどうかの検討が優先課題です。2013年に、活断層の可能性があるとする専門家チームの報告を規制委が認定しました。活断層の真上に原子炉建屋など重要施設を造れないとされ、評価が確定すれば廃炉が迫られます▼しかし、原電は活断層ではないと審査を申請しました。その主張を証明しようと提出した地質データに1000カ所以上のミスが。ボーリング調査の記録を無断で80カ所書き換えていたことも発覚し「倫理上の問題」と指摘されたことも▼審査は2年以上中断し、昨年12月に再開したものの資料のミスが繰り返し見つかりました。申請からすでに7年以上、うち4年近く審査ができない状態です▼原子炉等規制法は、事業者に原発設置に必要な「技術的能力」を求めています。ましてや原子炉建屋直下に活断層の疑いがある原発のこと。ならば危険な原発を動かすのは、やめるのが当然です。

(「しんぶん赤旗」2023年4月13日より転載)