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敦賀2号機審査 再度中断・・規制委 原電に補正申請要求

 日本原子力発電(原電)の敦賀原発2号機(福井県)の再稼働に必要な審査資料で誤りが繰り返された問題で原子力規制委員会は5日、定例会合を開き、審査を再度中断し、申請書の一部補正を求めることを決めました。

 規制委は近く、原電の経営陣に意見を聞いた上で行政指導を行います。

 同原発の審査では、2018年に1000カ所以上の審査資料の記載不備が見つかり、審査資料を再提出することになりました。20年には、ボーリング調査で得られた原子炉建屋直下を通る断層の地質データが無断で書き換えられていたことが、規制委側の指摘で発覚。審査が2年以上にわたって中断しました。

 22年10月、原電で再発防止策がなされたとして、規制委が審査再開を決定。しかし、その後の審査で、地質試料の作成方法が不適切だったことなどの誤りが新たに見つかりました。

 5日の定例会合で、規制委事務局の原子力規制庁の担当者は「審査資料の改善が見られず、実質的な審査に入れる見通しが立っていない」と説明。原電として申請内容に責任を持つよう求める必要があると提案しました。

 これを受けて規制委は、原電が15年に提出した法的書面である設置変更許可申請書のうち、建屋直下を通る断層に関しての補正を8月31日までに提出するよう求めることを決めました。

 規制庁は、申請書の補正が提出されれば「申請書の内容について技術基準に適合しているのかどうか、判断ができる状態になる」と説明しました。

 会合後の会見で、規制委の山中伸介委員長は「(補正で)改善しなければ、それなりの判断をしなくてはいけない」「審査を続けるか、許可・不許可を判断するかの2択になる」と述べました。

解説

事業者の資格を疑う

 日本原子力発電(原電)敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の原子炉建屋の下を通る破砕帯と呼ばれる断層が活断層である可能性は、原子力規制委員会発足前の2012年4月、旧経済産業省原子力安全・保安院と専門家による調査で浮上しました。

 調査を引き継いだ規制委の専門家チームは13年、原子炉から東に数百メートルの位置にある活断層「浦底(うらそこ)断層」と原子炉建屋直下を通る断層が連動する可能性があると判断する報告書を規制委に提出。専門家チームは15年にも、直下の断層が活断層であることを否定する原電の追加資料を基に再検討し、再び「活断層」と報告しました。

 それでも原電は同年11月に再稼働のための審査を申請しました。

 審査する規制委は、原子炉建屋直下を通る断層が将来動く可能性のある活断層かどうかを議論することを優先しました。規制基準では活断層の上に重要施設を建てることを禁じており、活断層と確定すれば廃炉を迫られるからです。

 しかし、実質的な審査は進んでいません。資料に誤りが多く、書き換えもあり、審査でどのデータをもとに議論するのか定まらないからだといいます。

 5日の定例会合で、断層の審査を担当する規制委の石渡明委員は「資料がまともに作れないようでは、本当に困る」と苦言を呈し、他の委員からは「この審査、どうなったら終わるのか。全然見えない」との疑問も出されました。危険な原発を動かす事業者としての資格が疑われます。

 (「原発」取材班)

(「しんぶん赤旗」2023年4月6日より転載)