四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)は安全性に問題があるとして、広島県と愛媛県の住民計7人が運転差し止めを求めた仮処分の即時抗告審で、広島高裁(脇由紀裁判長)は24日、差し止めを認めない決定をしました。
裁判での主な争点は、耐震設計の目安となる地震の揺れ「基準地震動」の妥当性などでした。
住民側は、四国電が設定した基準地震動は実際の地震観測記録に照らして低水準で、3号機の耐震性に問題があると主張。これに対し四国電側は、基準地震動は地盤の固さなど地域特性を踏まえて評価しており、耐震設計は妥当だと反論していました。
広島地裁は2021年11月、「基準地震動を上回る規模の地震が発生する具体的な危険性があるとは言えない」と指摘し、申し立てを却下。住民側が即時抗告していました。
3号機を巡っては、広島高裁が17年12月、運転差し止めの仮処分決定を出しましたが、同高裁の別の裁判長が18年9月、四国電の異議を認めて決定を取り消しました。同高裁は20年1月にも運転差し止めを命じましたが、21年3月に再び異議審で取り消されました。いずれのケースも、住民側が最高裁に特別抗告せず確定しました。(時事)
(「しんぶん赤旗」2023年3月25日より転載)