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東電が上告取り下げ/福島原発事故 南相馬の集団訴訟 & 高浜原発4号機の制御棒落下 施工不良が第一原因/規制委報告

東電が上告取り下げ/福島原発事故 南相馬の集団訴訟

 東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされ故郷の変容を強いられたとして、福島県南相馬市原町区の住民140人が東電に対し損害賠償を求めた南相馬訴訟で、東電が最高裁への上告を取り下げたことが22日、わかりました。取り下げは7日付。東電に約2億7900万円の支払いを命じた仙台高裁判決が確定しました。

 東電によると、同種の集団訴訟で上告を取り下げたことで確定したのは異例といいます。先行する七つの集団訴訟では最高裁が昨年、東電の上告を退けて、国の賠償基準である「中間指針」を上回る損害賠償を認めた判決が確定しています。

 取り下げた理由について東電は「中間指針第5次追補が策定され、被害者へのお支払いを早期に進めるべきであることなど総合的に勘案した」としています。

 昨年11月25日にあった南相馬訴訟の仙台高裁判決は、東電の対応について「経営上の判断を優先させ」「結果回避を怠り深刻な原発事故を発生させた重大な責任がある」と厳しく指弾し、慰謝料の増額要素にしました。

 判決では、避難を余儀なくされた慰謝料、避難生活の継続による慰謝料、故郷の変容による慰謝料の三つを認定。一審で請求が棄却された、津波で被災した地区の原告にも三つの慰謝料を認めるなど、一審を上回る賠償を命じました。


高浜原発4号機の制御棒落下 施工不良が第一原因/規制委報告

 関西電力高浜原発4号機で1月に発生した中性子量の低下による緊急停止の問題について、原子力規制委員会の22日の定例会合で報告されました。会合後の会見で山中伸介委員長は「施工不良が第一の原因」と述べました。

 緊急停止の原因は、運転中に電磁石で原子炉の上部に保持される48本ある制御棒のうち1本が原子炉に落下したことが原因としています。制御棒を保持するための電磁石につながるケーブルの上に、別の束ねたケーブルが覆いかぶさり、その重さでケーブルの接続金具の接触不良が起きたと推定しています。

 規制委は、ケーブル上に他のケーブルが覆いかぶさる状態で敷設したことは、業務が管理された状態で実施されたとは言えないなどと指摘。重要度と深刻度は、4段階で最も軽微なレベルと評価。国際原子力・放射線事象評価尺度(INES)評価は最も低いゼロとしました。

(「しんぶん赤旗」2023年3月23日より転載)