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主張 原発「60年超」容認・・規制委の政権迎合 許されない

 原子力規制委員会が、60年を超えた原発の運転を可能にする新たな制度案を決めました。2月13日の会合で、5委員のうち1人が反対したにもかかわらず、多数決で押し切りました。規制委は2011年3月11日の東京電力福島第1原発事故の痛苦の反省の上にたって、規制行政の独立性を高める目的で設立されました。岸田文雄政権の原発最大限活用方針への大転換に迎合することは、規制委本来の役割を投げ捨てたのも同然です。道理のない決定は撤回すべきです。

賛成した委員からも疑問

 60年超の原発運転は今月閣議決定された「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」の大きな柱です。

 現行法は運転期間を「原則40年・最長60年」と定めています。岸田政権は、安全審査や司法判断で停止した期間を運転年数から除外し、60年という上限を事実上撤廃する方針を打ち出しました。関連法案を2月中に閣議決定し、今国会に提出するとしています。

 規制委は、政府の動きに対応する新制度の議論をしてきました。当初、8日の会合で決める予定でしたが、地震・津波などの審査を担当する石渡明氏(元日本地質学会会長)が「科学的・技術的な知見に基づいて人と環境を守るということが規制委の使命だ」「安全側への改変とは言えない」と反対し、決定は延期されました。

 13日の会合でも石渡氏は反対しました。同氏は、審査期間が運転期間に算定されない仕組みについて「審査を厳格に行えば行うほど、将来、より高経年化した炉を運転することになる」「これは審査をしている人間としては耐えられない」と強調しました。

 賛成した委員からも「外から定められた締め切りを守らなければいけないという感じでせかされて議論してきた」(日本原子力研究開発機構元副センター長の杉山智之氏)、「60年超(の審査基準)をどうするかが後回しで、こういう形で決めなければいけなくなったことには違和感を覚える」(放射線医学者の伴信彦氏)と疑念が出ました。決定が極めて乱暴で異常だったことは明白です。

 規制委の山中伸介委員長は、法案提出という「決められた締め切り」があったと認めました。岸田政権の原発活用スケジュールに合わせることを優先し、複数の委員の異論を置き去りにして性急に結論をまとめたことは、規制委の存在理由にかかわる大問題です。

 そもそも岸田政権が国民の声を聞かず、国民への説明も抜きに、原発政策の大転換を進めていること自体が重大です。

意見交換会を残したまま

 「GX基本方針」をめぐり政府は全国10カ所で意見交換会を設定しました。ところが6カ所で未開催のまま同方針を10日に閣議決定しました。国民と向き合わない岸田政権の姿勢があらわです。同方針へのパブリックコメント(意見公募)では3300件を超える意見が寄せられ、原発運転延長反対などの声が大多数でした。

 日本共産党の笠井亮議員は15日の衆院予算委員会で、反対意見を一顧だにせず、結論ありきで原発政策の大転換を強行した首相を厳しく批判しました。12年前の甚大な原発事故に反省のない岸田政権を追い詰める世論と運動が重要になっています。

(「しんぶん赤旗」2023年2月18日より転載)