原子力規制委員会は2月8日、これまで最長60年とされている原発の運転期間を延長させる政府方針に対応する安全規制の概要案について議論しました。この日に決定しようとしましたが、石渡明委員が反対を表明。山中伸介委員長は、多数決を避け、次回15日の定例会合で法案と合わせて再度議論することになりました。
この日、地震・津波などの審査を担当している石渡委員は、「運転期間を法律(原子炉等規制法)から落とすことになる。安全側の改変とは言えない」などと発言。さらに、概要案が審査に時間をかけるほど運転期間が延びる法改定の提案であり、「審査の期間が延びると、より高経年化した炉を将来動かすことになる」と指摘。概要案への反対を表明しました。
同概要案に対しての意見募集では、一般から1749件、提出意見に該当しないとされたものを含めると2000件を超える意見が寄せられました。「福島原発の教訓を踏みにじるもの」、「規制委の責任放棄」などの反対が多くありました。
現在の原子炉等規制法では、原発の運転期間は運転開始から原則40年、規制委から認められた場合、最長で20年の延長が1回だけできます。政府は、運転期間の定めを原子炉等規制法から経済産業省所管の電気事業法に移し、運転期間から審査などによる長期停止期間を除外して実質的に60年を超える運転を認める方針を示しています。
概要案は、運転開始から30年以降運転する場合、事業者は10年ごとに劣化管理のための計画「長期施設管理計画」を策定し、規制委の認可を得るとしています。
(「しんぶん赤旗」2023年2月9日より転載)