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2023年度 予算案の焦点(3) エネルギー 原発・化石燃料に固執

福島第1原発構内におかれているタンク群=2022年1月24日、福島第1原発

 岸田文雄政権は2022年12月、東京電力福島第1原子力発電所事故後の「可能な限り原発依存度を低減する」としてきた政府方針を「原発回帰」へ大転換しました。原発の新規建設推進や60年超の運転を容認。23年度予算案は原発推進を大きく打ち出しました。福島原発事故の教訓も被災地の苦しみも忘れた政策です。

将来的に20兆円

 「脱炭素」を口実に原発推進にも使われる新規国債「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」(仮称)を発行し、22年度第2次補正予算と23年度予算案で合計1・6兆円を投じ、将来的に20兆円を調達するとしています。

 経済産業省は原子力産業の維持・強化や、米仏との高速炉の技術開発の推進を掲げました。新たに「高温ガス炉実証炉」に48億円、「高速炉実証炉」に76億円を計上。「電源立地地域対策交付金」に745億円(22年度比15億円増)、「原子力の安全性向上に資する技術開発事業」に25億円(同2億円増)、原発業界の維持強化のための「原子力産業基盤強化事業」に13億円(同1億円増)を盛り込みました。

 文部科学省は破綻した「核燃料サイクルの革新的な研究開発」に107億円(同13億円増)、「『もんじゅ』サイトを活用した新たな試験研究炉」に5億円(同1億円増)などを計上しています。原子力規制委員会は583億円(同6億円減)です。

 化石燃料は延命を図っています。経産省は石炭火力に化石燃料由来の水素、アンモニアを混焼させる技術の開発支援として新規の「グリーンイノベーション基金」に4564億円を計上(22年度第2次補正予算でも3000億円計上)。脱炭素に逆行する「次世代火力発電の技術開発」には176億円(同6億円増)をつけ、石炭火力が排出する二酸化炭素を回収・貯留させる「先進的CCS支援」には新規に35億円を盛り込みました。

省エネ関連抑制

 一方で、気候危機打開にとって決定的な省エネルギー、再生可能エネルギー関連の予算は抑えられています。

 経産省の「先進的省エネ設備への補助金」は、22年度比8億円増の261億円にとどまっています。「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金」は22年度比25億円減の105億円、「地熱発電の資源量調査・理解促進事業」も同じく25億円減で102億円となっています。「太陽光発電の導入可能量拡大等に向けた技術開発事業」は22年度比同額の31億円、「洋上風力発電等の導入拡大に向けた研究開発」は22年度比21億円減の45億円となっています。

(「しんぶん赤旗」2023年1月21日より転載)