「可能な限り原発依存度を低減する」などとしてきた政府方針を覆して、新規原発建設推進や老朽原発の運転を認める「原発回帰」に大転換した岸田自公政権。電力会社や原子力関連の企業、研究機関、原発立地地域の自治体などでつくる一般社団法人「日本原子力産業協会」(原産協会、392団体)の会員企業が、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、2021年の1年間にあわせて約6億3800万円もの献金をしていたことが本紙の調べで分かりました。
政治資金収支報告書(21年分)によると、会員企業の献金で目立つのは、原子炉メーカー。すでに「革新軽水炉」の開発を手掛けている日立製作所は4000万円、ことし9月、北海道、関西、四国、九州の電力会社大手と「革新軽水炉」を共同開発すると発表した三菱重工業は3300万円。原発建設に使われる鉄鋼を供給する鉄鋼メーカーの日本製鉄は前年より700万円増の2700万円、JFEスチールも250万円増の750万円です。核燃料の調達をする大手商社は、三井物産、三菱商事、丸紅が各2800万円。
経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」の原子力小委員会の「革新炉ワーキンググループ」に、産業調査部参事役を委員として送っているみずほ銀行は2000万円。このほか、原発を建設するゼネコンは、鹿島建設、大林組、清水建設が各1800万円など。会員企業の献金総額は、6億3794万2000円にのぼりました。
原産協会が会員企業を対象におこなった「原子力発電に係る産業動向調査」(今年6月1日~7月15日)によると、電力各社から会員企業への原発関係支出は、21年度、1兆7646億円です。
財界や原発業界の要求を丸のみして「原発回帰」を勝手に決めた背景に、年間2兆円近い膨大な原発マネーに群がる大企業の献金…。原発利益共同体と自民党との根深い癒着を示しています。
(「しんぶん赤旗」2022年12月31日より転載)