茨城県北部の日立駅前で、毎週土曜日、雨の日も風の日も脱原発を訴える署名を呼びかけ続けて11年。集めた署名数は2万人分を超えました。「若い人が関心を持ってくれると励みになります」と笑顔で。
署名する人とは、原発にとどまらず話が弾みます。「子ども食堂は本来国がやるべきこと」など、対話内容を記したノートは12冊になりました。「政府はまず、国民の苦しい実態をつかむべきです。それなしに政治はありえません」
きっかけは、2011年の東京電力福島第1原発事故。坂本龍一さんや落合恵子さんが呼びかけた署名の訴えに「居ても立ってもいられず」駅前に立ち始めました。2016年にはチェルノブイリ原発事故現場を訪れました。「被ばくを緩和させる取り組みを国が行っている。それを見て、日本の貧しさを痛感した」
岩手出身。家が貧しく、山菜や海の幸を採って食べて育ちました。「そういう経験から、子どもたちにひもじい思いはさせたくない。子どもを飢えさせないのは、本来政治の責任です」
長く小学校教諭として働き、組合活動にも力を注ぎました。「一人ひとりを大切にしようとしてきました。命は全て平等、という信念は貫けたと思います」。
改憲を許さない全国署名なども併せて呼びかけています。「最近の情勢を見ると、戦争が目の前に立ちはだかっているように感じます。体力が続く限り訴えます」
文・写真 鈴木 平人
(「しんぶん赤旗」2022年12月24日より転載)