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原発事故賠償の対象拡大・・「中間指針」素案 目安額は次回議論

 東京電力福島第1原発事故の賠償基準の目安となる「中間指針」を策定する文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(会長・内田貴東京大学名誉教授)は12日、賠償対象の範囲を拡大した中間指針第5次追補の素案を示しました。今回は損害額の目安は示されておらず、次回20日に開かれる審査会で、それらを含めた指針案を議論する予定です。

 今回の見直しは、指針を上回る損害賠償を認めた七つの集団訴訟の高裁判決が確定したことを受け、原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)の事例も含めた分析・調査を踏まえて検討しました。

 素案では、指針で示す損害額の目安が「賠償の上限ではない」と明記。指針で示されなかったものも「相当因果関係のある損害と認められるものは、全て賠償の対象」として、東電に対し「誠実な対応」を求めています。

 その上で、着の身着のまま取るものも取りあえずの過酷避難状況による精神的苦痛を賠償すべき損害として加算。帰還困難区域の住民に実質的に賠償していた生活基盤喪失による精神的損害では、居住制限区域や避難指示解除準備区域、緊急時避難準備区域の住民にも新たに生活基盤変容による精神的損害を認めました。

 計画的避難区域や特定避難勧奨地点に居住した住民については、「相当線量の線量地域に一定期間滞在したことによる健康不安に基礎を置く精神的損害」を認定し加算。通常の避難者と比べて精神的苦痛が大きいと認められる場合として、要介護状態や身体・精神の障害があることなど10項目を増額。福島市やいわき市など「自主的避難等対象区域」の子ども・妊婦以外への賠償対象期間を「事故当初」から2011年12月末に拡大しました。

(「しんぶん赤旗」2022年12月13日より転載)